第3章 保健委員会と手負い人 の段
(あー、やっぱり困ってるな)
半助は乱太郎の言葉に挙動を乱したに、こっそり苦笑した。
一瞬泳いだ視線。それはまさに一瞬で、すぐ元に戻ったので、きり丸と乱太郎は恐らく気付いていない。
だが、半助に気付かせるには充分だった。
(やっぱり医務室には行きたくないんだな)
男装をするが『』として来ている以上、医務室で治療を受けるのは難しい。
それがわかるだけに、半助は対応に困る。
(医務室で道具だけ借りて、人目のないところに連れて行くか?)
半助がそう悩んでいると、『』は手をパタパタ振った。
「あっ、よく考えてみれば、部外者がこんなとこで勝手に治療されるのはまずいですよねー☆ 校医がいないなら☆ やっぱり僕は帰りまー」
ピキッ!
((あっ、土井先生が怒った・・・))
忍たま二人の耳に、半助の額に浮かぶ青筋の音が聞こえた。
は組の良い子は、だてに半助に怒られなれている訳ではない。
ちらりと担任教師を見ると、案の定、こめかみをピクピクさせている。
「「あのー、さん、止めた方が・・・」」
「あっ、やっぱり治療止めてさっさと帰った方がいいよね☆」
止める忍たまを無視し、都合のいい解釈をする『』。この場を離脱する事しか考えていなかった為、辺りの空気の変化を読む事を忘れている。
「ふぅ・・・ふふふっ」
((あっ、土井先生がヤバい・・・))
静かに怒りをため息と乾いた笑いに変えた半助を見て、忍たま二人は静かに道を開けた。
「「先生、どうぞ」」
とばっちりはゴメンとばかりに、『』を半助の前に突き出す。
「へっ、何!?」
『』はようやく、自分を見下ろす冷たい視線に気付いた。
「・・・あっ、ど、土井先生?」
焦りながら、ニコリと笑って誤魔化す『』。
その作られた笑顔を、半助は同じく作り笑いで華麗にかわした。
そして、おもむろに『』に近付くと、再びむんずと肩を掴む。
「ギャー!?!?!? 無理、それダメなやつ!!!!」
「さっき治療すると約束したのはどの口かなー?」
「すみません、この口です!!!!」
「何逃げようとしたのかな?」
「すみませんでした!!」
の叫びが学園に響いた。