第3章 保健委員会と手負い人 の段
「・・・ねえねえ、きり丸。トカゲって何?」
「あぁ、かくかくしかじか・・・」
きり丸が乱太郎に事の経緯を説明すると、乱太郎は朗らかに笑った。
「そういう事かー♪ さん、トカゲ嫌いなんですか?」
乱太郎に聞かれると、『』は嫌な顔をした。
「嫌い、大嫌い。蛇もヤモリもカエルも蜘蛛も全然平気だけど、トカゲは嫌い」
理由は自分でもわからないよ、と肩を震わせる。もともと本調子でないせいか、顔が青ざめている様にも見える。
「ちなみに、ナメクジは?」
乱太郎が言うと、
「嫌いじゃないけど、別に友達になりたい訳じゃないから、喜三太には言わなくてよろしい」
が乱太郎の頭をもう一度撫でる。
は組のよい子は『はーい』と手を上げて答えた。
一見、和やかな空間。だが、半助は心穏やかでなかった。血の臭いが確実に漂っている。
(これは応急処置しないと・・・)
半助は、に呼びかける。
「くん、怪我の手当てをー」
と言いかけた声を、『』は遮った。
「土井先生、僕の用事はなくなったんで、これにて失礼します☆」
「「「えっ、くん(さん)怪我の手当ては?」」」
突然笑顔を作り別れの挨拶をしようとする『』に、半助・きり丸・乱太郎は驚く。
さっき傷が開いたと言ったのは目の前の当人だ。
にも関わらず、どうも帰る気満々らしい。
「怪我は後でなんとかなる予定です☆」
当てにならない台詞で、軽く胸を張る。
(((あんまり自慢にもなってない気が・・・)))
言われた3人は唖然とした。
(いや、行かせちゃダメだろ)
半助は、の『怪我をしている方の肩』をあえて掴む。
「ちょ、土井先生何するんですか!? そっち、ダメな方ですよ!! 知ってますよね!?」
慌てて振り払おうとする。だが、顔をしかめるものの、振り払いきれず、苦悶の声をあげる。
(やっぱり振り払えないか・・・あっさり肩を掴ませたし、第一、小松田くんに追われたくらいで、この子は木にぶつかったりするか?)
事務員の入門票に対する執念はともかく、プロ忍者がそう簡単に木にぶつかるのがそもそもおかしい。
「帰る前に治療だな」
半助はニッコリとに笑いかけた。