第3章 保健委員会と手負い人 の段
「それより、何で薬草が大量になくなってるんだ? 乱太郎」
復活した半助は問う。
学園内の空気の違和感と関係があると踏んでだ。
長期休暇中とはいえ、もうすぐ授業再開なのに、どうにも人気が少ない。
すると、乱太郎は
「ああっ、土井先生達はまだ知らないんだ」
と、納得した様に頷いた。
「少し向こうの山で山火事があったらしいです。近くの集落に飛び火して大混乱になってるって。おかげで、そっち方面からの生徒は帰還出来ないらしくて、学園の再開が2・3日遅れるかもって聞きました。学園に着いてた上級生や先生方はかなり応援に出られてます」
「おかしいな・・・私のところにはそんな報告なかったけど」
半助はそこまで呟いたところで、近くに人の気配を感じた。
ふっと上を見上げる。
そう、そこにはさっき小松田から逃げ去ったはずの人・・・
「土井先生ー、はぐれてすいません。文句は小松田くんと巨大トカゲに言って下さい」
その声は頭上から聞こえ、そして・・・
シュタっ!!
3人の前に軽やかに降り立つ。
「「うわっ・・・って、さん!!」」
急に降ってきた人影に乱太郎ときり丸は驚いたものの、すぐに正体に気付いたらしい。
は組の二人が揃って呼び掛けた。
呼び掛けられた方は、お気楽に手をパタパタ振っている。
「土井先生の叫び声のおかげで、すぐ居場所わかりました☆」
どうやら、さっき乱太郎ときり丸に文句を叫んだのを目印に戻ってきたらしい。
「ねぇ、きりちゃん、土井先生とはぐれたって、さん一緒に来てたの?」
「実はカクカクシカジカ・・・」
きり丸は乱太郎に、怪我人を拾ってからの流れを説明する。無論、『の秘密』の部分は綺麗に隠してだ。
一方、半助は人の近寄る気配は察知していたので別に驚きはしていなかった。
しかし、『』から漂う匂いに気がついた。
そう、それはー
「くん・・・血の匂いがする」
そう、目にはわからないが、確実にする血の気配。
隠しきれないそれは、半助が一緒にここに向かう道中はしていなかった・・・たとえ手負いであったとしても、綺麗に隠されていたはずだ。なのに・・・
「忍失格ですねー、僕」
そう言うと、はバレたかという苦笑で負傷していた肩を指差した。