第3章 保健委員会と手負い人 の段
(何をしてるんだ??)
下から様子を窺うも、枝が邪魔であまり見えない。
何やら顔を片腕に寄せているようだが、といった位しか読み取れず。
大して時間を取らず、は再び何事もなかった様に静かに降りてきた。
「待っててくれたんですね、ありがとうございます♪」
半助にそう笑いかけると、きり丸にはまた頭を撫でた。
(何だったんだ??)
行動の意味がわからないまま、再び一行は歩き出す。途中で誰に出会うということなく、やがて学園にたどり着いた。
「たのもー」
「「いや、それ道場破りだから・・・」」
門の前で間の抜けた大声を出すと、すかさずツッコミを入れるきり丸と半助。
しかし、なかなか扉は開かない。
「あれっ、小松田くん、長期休暇?」
いつも入門票持って扉を開ける事務員が現れないので、は首を傾げる。
同じ様に、半助も疑問符を浮かべた。
「おかしいなー、小松田くんは、今日は学園詰めになってたはずだけど・・・」
(それに、何だか学園の人の気配がおかしい気が・・・)
教師として何度も長期休暇を経験してきた半助は、学園の空気の違いを微妙に感じとる。
やがて・・・
ガチャ!
学園の扉が開いて、頭に葉っぱをたくさん貼り付けた忍術学園事務員・小松田秀作が顔を出した。
「お待たせしましたー、あっ、土井先生、きり丸、お帰りなさいー」
のんびりとした口調で、小松田は現れた・・・指先を爬虫類にかじられながら。
「こ、小松田くん、それ、何?」
青くなりながらは小松田にぶら下がる生物を指差す。
どうやら、爬虫類はあまり好きではないらしい。
どこでも寝れると言った人間らしからぬ弱点だ。
「痛くないの・・・かな?」
「痛いですよー、さっきから離れてくれなくて。脱走生物の捕獲を手伝ってるんでど・・・あっ、入門票にサイン下さい♪」
小松田が入門票と筆を差し出す。
もちろん、差し出された手には爬虫類がついたまま。
はひきつって笑いながら手を伸ばし・・・伸ばしかけ・・・
「・・・・・・ごめん、無理ー!!」
開いた扉から脱兎のごとく逃げ出した。
シュタタタタッ!!
「あっ、入門票にサインー!!」
小松田、無論追いかける。
後には、揃ってため息をつく半助ときり丸が残された。