第2章 団子茶屋と甘味好き の段
「仁王立ち?」
半助には何のことかサッパリわからない。
に問いかける視線をやると、
「・・・仁王立ちとは、仁王様の様に立つ事です・・・」
誤魔化す様に、言葉自体の意味を返される。
無論、半助が聞きたいのはそういう事ではない。そんな事はとうに知っている。
「いや、仁王立ちの言葉の意味を聞いてるんじゃなくて・・・」
「・・・るらら~」
さらに聞くが、は変な鼻歌でソッポを向く。
(なんだ?)
半助には意味がわからず、今度は老主人に目を向ける。
「・・・あの、仁王立ちに気をつけろっていうのはー」
半助が老人に尋ねるが早いかー
「はーい、やめやめやめやめ~っ!!」
とが身体の中央で、大きく両手でバッテンを作って叫んだ。
よほど聞かれたくない話なのか、は老主人に詰め寄り、
「その情報は僕が全て買い取らせて頂きます!!」
と、口止め料の算段を始める。
あれよあれよという間に話はまとまり、は座り込んで茶を啜る。
(あー、喉渇いた、無駄に疲れた・・・)
疲れた身体に甘いもの、とばかりに再びは団子に手を伸ばし始めた。
老人は、
「毎度あり」
ホクホクしている。
(・・・今のは一体何だったんだ!?)
半助が問うても、両者はさっさと口を塞いでしまった。
結局、ここ話はここで終わってしまう。
だが、は知らなかった。
ここで一人の老主人の口を塞いだところで、実は全く意味がなかったという事に。
何故ならこの話は、少し後に、忍術学園内にて、しっかりと半助の耳に届く事になるからだ。
だが、この段階ではまだ、はそれに気付いていない。
ただ、話の出所をいぶかしみつつも、一安心してしまった。
((・・・そういえば、さっきからきり丸がおとなしい気が・・・))
中途半端にだが話が一段落したところで、と半助は、ふと同じ事に気がついた。
さっきから、自分たちの横にいたはずのきり丸がおとなしい。
話に寄ってきていない。
((いつからだ? 団子一緒に誉めた後・・・))
ふっと二人はきり丸を見る。
するとそこには・・・
「じゃあ、そういう事でお願いします」
店の看板娘(?)と目を銭にして話すきり丸がいた。