第2章 団子茶屋と甘味好き の段
「だぁぁ、もう!!」
思わず頭を掻きむしった半助に、驚いたきり丸とは振り返る。
「「何やってんの、土井先生」」
振り返って呆れる二人。揃ってすでに、ちゃっかり店先に腰を下ろしていた。
「あぁ、何でもない何でもない」
慌てて否定し、半助もきり丸の隣は腰を下ろす。
無意識に、の隣を避けていた。
老女が差し出す茶に一息つき、
(落ち着け・・・忍たるもの、平常心)
半助は自分に言い聞かせる。
その茶屋は、さほど大きいものではなかった。
老人二人で切り盛りするその店は、主人がいうようなおんぼろではない。
むしろ、比較的新しい。
おんぼろと言う事で、そう思わせる事を狙ったのかと思わせる。
「ここの団子、絶品なんですよ☆」
本当に楽しそうに笑う。
その姿に、他意はないように見える。
茶を啜る姿は、自信たっぷりで、本気で団子自慢を始める。
「仕事柄、いろんな所行きますけど、この団子はかなりイケてます☆」
さほど待たず、3人の元に、老女が串に刺さった団子を持ってきた。
「召し上がれ☆」
ニヤニヤ笑いながら、皿を差し出す。促されて半助ときり丸は団子を口に運ぶ・・・
「美味い!」
「美味しい!!」
「この柔らかさ!!」
「絶妙な甘さ!!」
とたん、二人は口々に団子を誉め始める。
その様子を得意げに見ながら、は自分の団子を頬張る。
「美味しいでしょー☆ 」
頬をプクプクと団子で膨らませながら言う。
「ここのご主人、元々は副業兼情報交換の場として茶屋を経営なさってたんですけど、副業の団子が美味しすぎて☆ 本業は引退なさったんですけど、茶屋だけ続けて貰ってるんです、僕らの憩いの為に☆」
はすでに3本食べつくし、残った串をヒラヒラ振る。
「ついでに、面白いお話も持っていらっしゃるときますから☆」
「隠居じじいに大した話を期待しなさんな」
そう言いながら、と老主人は『最近どこの城の人の出入りが激しい』だの、『どこそこの商人が火薬を集めてる』だの物騒な話を繰り広げる。
(そりゃ、立ち寄るわけだ・・・)
半助は自分の団子を眺めた。
確かに団子も絶品に美味い。しかし、それ以上の物がここにはあるらしい。