I don't like you 〜耳をすませば〜
第2章 夏に始まる
ー星海sideー
翌日、私は茶道の帰りに西おじいちゃん(つまり聖司の祖父)の所に、残暑見舞いの品物を届けに行く事になった。
自転車でぴゅーっといってすぐだ。
私は西おじいちゃんが営んでいる地球屋に着くと、すぐ近くに自転車を止め裏口から入った。
そして、裏口の扉を開けようとした時だった。
聖司「よぉし。じゃあ、お前歌えよ!」
?「だめよ私っ……音痴だもん!」
バイオリン教室の工房から聖司の声と…
女の子の声?
考えてるうちに、聖司のバイオリンの前奏が聴こえた。
うまい。
なんだよ。お前の方がうまいじゃんか。
?「……一人ぼっち〜恐れず〜に〜」
どうしよう。
なんか胸がゾワゾワする。
?「カントリーロード この道〜」
すると、頬に濡れたものが溢れてきた。
え……
私泣いてる?
私は涙を拭った。
?「決して涙を見せないで〜」
すると、音楽が突然賑やかになった。
西おじいちゃん達だ
なんだろう。
すごくいい歌なのに。
ここにいたくない。
私は耐えられなくなった。
私は走ってそこから離れた。
聖司「……!
星海…?」
私は自転車に寄りかかった。そして泣いた。
5分くらい泣いたあと、私は店の入り口のわかりやすそうな所にメモを添えた残暑見舞いのお菓子を置いた。
妙に体がだるかったが、私は自転車で帰った。