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I don't like you 〜耳をすませば〜

第2章 夏に始まる


ー星海sideー

私は無言で家に入った。

母「ちょっと、星海!何してたの!?

早く準備しなさい!レッスンに遅れちゃうでしょ!?」

私は母のあやつり人形みたいな存在だ。

ピアノもバレエも茶道も生け花も、全部母の趣味だった。

塾も無理矢理行かされてる。

服の好みも全部母。

母曰く、私を"頭のいい可愛いお人形みたいな子"に育てたいらしい。


私には趣味と言ったものがない。

でも、唯一好きなのはバイオリンを弾くことである。

聖司には言ってないけどね。

バイオリンだけは私が母にお願いし、やらせてもらったものである。

母の趣味のツボにもはまったらしく、あっさりOK貰っちゃったけど。

私は長い髪をお団子に結って、レオタードを着た。

その上にパーカーをはおり、私は外に出た。

ふと、聖司の家を見上げた。

なんと、聖司が自分の部屋の窓から手を振ってくれていた。

私は手を振り返した。

そして、母が待つ車に乗り込んだ。


母「貴方、ここの所成績上がってるじゃない。

よかった。塾を2つ通わせた甲斐があったわ。」

と、弾ませた声で私に話した。

塾2つでも相当なのにな。

その後は茶道やら生け花やらバレエやら…いっぱいある。

唯一ゆっくりできるのは日曜日ぐらいね。

教室に着いた。

母はゴキゲンなのか、私に投げキッスをして去っていった。


私は一つため息をつき、教室に入った。


先生「はい。今日はここまで。発表会まであと9日。

頑張りましょう。」

9日か。

今回は結構有名な白鳥の湖をやる。

私は主役に選ばれたため、期待を裏切らないように一生懸命練習している。

失敗したら、母はどんな顔をするか。

ご飯を一生与えられないかも。

あいにく発表会の次はピアノのレッスンだし。

ふぃー。死にそ。

今、8時だ。

自主練して帰ろ。


家に帰りたくないし。


そして、あっという間に1時間が経っていた。

星海「やば。怒られる。」

私は母に電話した。

電話に出た母は不機嫌気味の声だった。

自主練習してたというと、ぱっと声が明るくなった。

ちょろいもんよ。

そして、母の車に乗り込み家に帰った。

母「今日のご飯はシチューよ。」

星海「わ。やった。」


神様。私に自由をください。
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