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名の無い関係

第18章 問題は山積み


太陽が空の中心近くに辿り着いている。
もうすぐ昼休みになるという頃、珍しい顔が訓練場にいた。
指揮をとっていたミケに用事があったらしく、何か親しげに話している。
時折、こちらに目を向けては楽しそうに笑ったり、難しそうに考え込んだり。
いったい何しに来たのか、なんの話をしているのだろうか。
突然の上官の登場に、自分以外の兵達もどこか落ち着きがなくなりソワソワしている雰囲気が伝わってくる。
それにしても相変わらず、とても調査兵団No.2には見えない間抜けなニヤケ面してやがる。
余程隣のミケの方が立派な兵士だ。
話は終わったのか、ミケの後ろに彼女は下がった。


「集合!」


すぐに立ち去らない彼女に、集まった兵士が緊張している。


「午後は座学だ。各自昼食を済ませ二時間後に再集合。」


ミケはそう言うと一度解散の号令をかけた。


「リヴァイ、お前は残れ。」

「…命令か?」


早く戻って汗を流して着替えたいところだったが、どうやらそうはいかないらしい。


『そうよ、私と一緒に来てもらうから。』

「アンタと?」


久しぶりね、なんて言いやがって。
兵舎に戻ろうとしていた連中の嫉妬の混じった視線が痛い程に向けられる。
立場が上がってもアゲハの人気は変わらない。
むしろ上がった今は更に好意を向けられる様になった。
気さくに話しかけられる上官、気さくに話しかけてくれる上官。
オマケに最近、真面目に訓練をしていないからか女らしい身体を隠していない。
以前は少しでも立体起動で飛ぶ時の邪魔にならないように胸にサラシを巻いていると言っていたが、今はしていないらしい。
ジャケットの下でも女らしい膨らみが目立つ。


『そう、ミケには事情を話しといたから。』

「エルヴィンからの頼みだからな。」


あの野郎、今度はなにをやらせるつもりなんだ。
しかもその使いにアゲハを寄越すだなんて。
一番会いたくなかった、いや、一番会いたかったのかもしれない。
モヤモヤする。
フラフラしているくせに、いざとなると所在が全くわからなかった。
すぐに問い質してスッキリしていたら、こんなにも拗らせずにいたのかもしれない。


『そう言う訳だから、私服持って私の部屋に来なさい。』


アゲハはそう言うと先に戻って行った。
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