第16章 その日…
超大型巨人の出現、攻撃によってでシガンシナ区の扉が破壊された。その後出現した鎧の巨人によってマリアの扉を破壊された。
人類は争う術なく、巨人にあっさりと沢山の命と領土を奪われた。
その日、巨人の襲撃直前に帰還したばかりだった調査兵団が巨人を排除しきれなかったことが今回の引き金になったのではないかと責任問題になった。
結果、キースはその責任を全て自分が取ると調査兵団団長を辞任、後任にはエルヴィン・スミスが任命された。
「これもあんたの計画のうちか?」
調査兵団団長になったエルヴィンは執務室を移動する事となり、リヴァイはその作業を手伝っていた。
本来ならば、新たに入団してくる新兵の受け入れで忙しい時期だが、あんな事があったばかりで卒団の時季が大幅に遅らされている。
「どれの事を言っているんだ?」
「…。まぁいい。」
書類や本が詰められた箱は見た目よりも重い。
細かい作業や掃除をするなら私達よりもリヴァイがいいよ、とハンジとアゲハには作業の手伝いを逃げられてしまった。
「これからの壁外調査は大きく変わる。既に地形や建物の有無が分かる分、動きやすくはなる。だが、これは本当の意味での壁外調査ではない。」
「あぁ?」
「奪われた領土を取り戻す為の戦いだよ、調査ではなく、ね。」
だから明日は何としても優秀な戦力になる新兵を迎えたいとエルヴィンは力強く言った。
それを今、自分に話してどうしろというのか。
新兵の勧誘式に自分は直接関係ないだろ、と箱を抱えたリヴァイは眉間に皺を寄せる。
『エルヴィン!お昼食べたー?っと…、まだ作業中?』
ノックもなしに開けられたドアから、いつにも増して喧しいアゲハが顔を出した。
あの最後の壁外調査から帰還して以来、リヴァイがアゲハと顔を合わせるのは初だった。
長かった髪がバッサリと切られており、一瞬、誰が来たのかわからなかった。
『あ、リヴァイもいたの?なら一緒にごはん行こうよ!』
元々幼い雰囲気はあったが、短く切られた髪のせいか少年の様。
「おまえ、どうした頭…。」
『頭?…って!別に普通よ!』
髪を言いたかったリヴァイの言葉をバカにされたと捉えたアゲハは、ムスッとした表情を浮かべる。
「ハハハっ!」
そんな二人のやり取りをエルヴィンは盛大に笑った。