第15章 決断と結果
このままなら今回は死者を出さずに帰れるな!と新しく隊長に任命されたばかりのクリスは喜びの表情を浮かべた。
「ダメだ!その提案は承認しかねる。」
「えっ?」
エルヴィンの一言に場に緊張が戻る。
「仮にそうするならば、ここに残るのは戦闘において最も優秀な第三分隊だ。君の隊では全滅するのが目に見えている。だが、第三分隊を置いてこれ以上の進軍は不可能だ。」
クリスの視線がアゲハに向く。
それは助けを求めているような、力の無い弱々しい目で、彼女は飽きれた様に溜息をついた。
『ここは確かに防衛に向いてるよ。けど、巨人が入れないわけじゃない。入りにくい、だけ。』
今は奴等も大人しいからなんとかなってるけど、とアゲハは言って口を閉じる。
「君の気持ちも分からなくはないけどね。負傷者は馬車で治療。移動するなら全員が同じ場所に向かうのが最も生存率が高いやり方だよ。」
ハンジはそう言うとクリスの肩を慰める様にポンポンと叩く。
「雨が弱まり次第ここを発つ。」
キース団長はそう言うと、いつ出発の号令がかかってもいい様にしておけ!と命令を出した。
皆がそれに敬礼で返答をする。
アゲハはチラッとエルヴィンを見てから、皆と同じ様に胸に手を当てた。
「相変わらず敬礼下手だね〜。」
解散の号令のあと、ハンジとアゲハは自分達の隊が集まっているはずの部屋へ向かう。
今はミケの隊が見張りをしており、二人の隊は休息をとっている。
『いーの!ポーズでしょ、こんなの。』
出来たからって強くなるけじゃない、とアゲハは言う。
「まぁそりゃそうだけどさ。ねぇアゲハ、さっきのだけどさ。」
『さっき?』
そうだよ、あの作戦!となぜかハンジは興奮気味に言った。
「クリスは勘違いしていたけど。あれは少数精鋭が進軍するって言いたかったんだろ?」
まさかそこに私は入っていたんだよね?とハンジは目をギラギラとさせる。
その勢いに若干引き気味でアゲハは頷いた。
「だよねー!まだ、出会ったことない巨人がいるかもしれないしさぁ!私を置いて行くなんて言うわけないよね!」
やっぱり理解のある親友は大事だなぁ!とハンジは一人はしゃいでいた。