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名の無い関係

第14章 最強争奪戦


まさかこれを持ってきてくれただけ?と言われ、リヴァイは黙ってしまう。
それは黙秘ではなく、自分の中で言葉を繋ぐ為の時間だった。言いたい事も聞きたい事もたくさんある。けれど上手く言葉にならない。
そんなリヴァイを急かす事もなく、アゲハは優しく待つ。


「…俺は。」

『うん。』

「…アンタには強くいてほしい、のか?」

『ん?』

「初めて会った時はこんなふざけた奴が上官だなんて最悪だと思った。」


アゲハは頷くだけで言い返すことはしない。


「だが、アンタの戦い方は俺と違って綺麗だった。殺意とか憎悪とか、そんなもん全く感じねぇのに速くて強い。だから俺は、嫌なんだと思う。俺なんかにアンタが負ける事が。」


だからと言ってどちらかが手を抜く事も嫌だし、まして自分が手を抜いたらアゲハは激怒するだろう。


『リヴァイには話さなきゃいけないとずっと思ってたよ。』


アゲハはそう言うとリヴァイの隣に座り直す。


『私ね、最初はリヴァイと同じで敬礼の意味がわからなくて出来なかった。でもね、ある時わかったのよ。私にはなかったの、捧げられるモノが。』


これは比喩で心臓はあるよ、生きた人間だからねとアゲハは笑う。
前に確かに言われた事があった。敬礼するかどうかは自分で決めろ、と。


『私にもそれがある!って教えてくれたのがエルヴィン。だから私はそれを彼に捧げるって誓ったの。見つけ出したのは彼だからね。でもそれはね、彼に私の分の殺意や憎悪も丸投げしてるのよ。』


彼の殺意に従って自分は戦うから、私の殺意はそこにはない。
要は私はアレと同じ、とアゲハは立体起動とブレードを指差した。


「なら、アンタは!アゲハは何でここにいる?」

『さぁ、未だにわかりません。ただね、最近は凄く居心地がいいの。だから、かな。』

「俺の心臓はアンタにやると言ったはずだ。アンタに捧げてやる、けど俺は俺の意思で戦う。」

『いーんじゃないかな、それで。』


そう言うとアゲハは疲れた、とリヴァイに寄りかかる。


『リヴァイとは上官と部下だけどね私は対等でありたい。どちらかが強いとか弱いとか関係なく、お互いに足りないモノを補い合うような感じで。』


だから、対人戦闘は任せるよと言うとアゲハはゆっくりと目を閉じた。
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