• テキストサイズ

名の無い関係

第14章 最強争奪戦


なにやら外が騒がしい。
賑やかなのはいつもの事だが、今日のそれは違う。
執務室で陣形図を書いていたエルヴィンは、窓から外を見た。
訓練時間は終わっているはずなのに、まだ着替えてもいない兵達が訓練場の方へ走っていくのが見えた。
何かあったのだろうかとジャケットに手を伸ばすのと同時、ドアがけたたましく叩かれた。


「エルヴィン兵長大変です!アゲハ隊長とリヴァイが!!」


訓練に事故はつきものだ。
ちょっとの気の緩みで大怪我を、最悪命を落とす事もありえる。
ましては実力があるその二人なら、ついうっかり、のレベルも通常よりも高い。


「すぐ行く!!」


今の兵団には欠かせない戦力の二人に何かあったとしたら、壁外調査どころではない。
呼びに来た兵の後を追って、エルヴィンも訓練場へと向かった。


『…満足した?』

「ふざけるな!!」


人集りの真ん中。
土埃に塗れた二人がそこにはいた。
まるで大喧嘩をした後のようで、地面に押し倒されたアゲハにリヴァイが馬乗りになっていた。
だが、何故か負けた様な顔をしているのはリヴァイで倒されているのにアゲハはどこか余裕そうな表情だった。
まるでデジャブだ、とエルヴィンは呆れた顔をする。


「何をしている?」


エルヴィンの声に集まっていた兵達はビクッと体を震わせる。
そしてサーッと道を開けた。


「っち!」


リヴァイは邪魔者が来たと言う様に舌打ちをして、アゲハから体を離した。
押さえ付けてくる力が無くなり、ゆっくりと体を起こしたアゲハは気まずそうに笑って誤魔化している。


「まったく、そこまで喧嘩をするような理由があるなら聞かせてもらおうか。」

『喧嘩をしたわけじゃないよ、居残り訓練に力が入っちゃっただけ。ね、リヴァイ?』

「…あぁ、そんなとこだ。」


それが明らかに言い逃れなのは態度でバレバレだった。
だが、この場で二人を問い質したところで本当の事は話さないだろう。


「わかった。だが、騒ぎになったのは事実。二人はあとで私の執務室に来なさい。」

『…りょーかい。』


渋々だがそれを承諾したアゲハからリヴァイへと視線を向ければ、彼も嫌々ながら承諾した様子。
集まってしまっていた兵達に解散するよう言うと、エルヴィンは難しい表情を浮かべる。
/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp