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名の無い関係

第10章 誰のための敬礼


食堂で昼食を取っていたリヴァイを見つけたハンジは目をキラキラと輝かせて彼に駆け寄った。


「君はいつも一人だね。美味しくないだろ、これじゃ。」

「人数で味が変わるかよ。」

「まぁそうなんだけど。よく言うだろ?みんなで囲んで食べる食事は美味いって。」


リヴァイが調査兵団入りして半年以上が過ぎたと言うのに、未だに彼には親しい仲間がいない。
けれど、以前のように彼を厄介者としてみる輩は少なくなってきていた。
今はどちらかと言うと近寄り難い存在、というところだろう。
本当はみんな彼の強さを認めているし、何か強くなるコツがあるなら教えて貰いたいと思っている。
だが、リヴァイ本人がこれだ。全く愛想が無い。
こうして一人で食事をしている彼に近付くのはハンジぐらいなもの。
元第三分隊の仲間だったソーマは今は彼よりも立場が上。
あんなに世話をするように一緒にいたアゲハとは今の体制になってから、一言も言葉を交わしていない。
時々、お互いの姿は見る事があるが、どちらからも近付き声をかけるような事はなかった。
アゲハは今はエルヴィンとほぼ行動を共にしている。
次期団長はあの二人のどちらか?と兵達がふざけて賭けをする対象になるほどに。


「お前はヒマそうだな。」

「なになに?アゲハにかまって貰えなくて淋しい?」


会おうと思えばいつでも会える。
それにいつでも彼女の私室でシャワーも使っていいと言われた。
だが、結局はあの一度きり。


「バカ言うな。面倒臭い奴の尻拭いをしなくなったんだ。」


淋しいなんて思うわけないだろ、と言ったはいいが、リヴァイ本人ですらそれが本心なのかわからなかった。


「そっかなぁ、私ならアゲハに三日会えなかったら淋しいよ?」

「お前と一緒にするな。」

「確かに今、アゲハは王都行きの班編成とかで忙しいみたいだけど。」

「王都?」


あれ、知らない?とハンジは目を輝かせた。
そして来月王都で行われる王覧試合の事を話した。
勿論、出場予定の兵にリヴァイも上がっていることも。


「勝手に決めやがって。」

「嫌なら直談判するしかないよ、君の強さを出さない理由なんてないんだからさ。」


よかったね、アゲハに会いに行く理由が出来たじゃないかとハンジはリヴァイの肩を叩いて笑った。
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