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アサガオの花

第3章 始まり



「あっ、ごめんね。そんなに驚かせるつもりじゃなかったんだけど」

『あっ、いえ、私の方こそスミマセン!』

「妃さんにドリンク作るの手伝ってもらおうかなって思って」

『ハイ!勿論ですっ!』


正直なとこ、日向君達が凄く気にな
るけど、グッと堪えて水道に向かう
清水さんの後を追いかけた

水道は体育館と部室棟の間にある

清水さんから一通り説明を受ける


「後はお水を入れて···あっ、いけない。澤村のボトル置いて来ちゃった。ちょっと取ってくるね!」

『あっ、ハイ』


持っていたボトルをカゴに入れて清
水さんはパタパタと体育館に走って
行った

残された私はとりあえず教えてもら
ったように人数分のドリンクを作っ
てそれをカゴへ詰め込んだ

ドリンクでいっぱいになったカゴを
持ち上げると思いのほか重かった


『う···重っ!』


よろよろと歩いていると目の前にメ
ガネをかけた男の人がこちらを向い
て立っていた

その人と目が合うと何故かこちらへ
と歩み寄って来る


「貸して」


そう言うと彼はひょいとドリンクが
入っているカゴを片手で持ち上げた


『え?!あの・・・』

「何?」


振り返った彼の顔には眉間に皺が寄っ
ていて、どこか機嫌が悪そうに見えた


「重いんだから早くして?」

『え、えっと···あなたは?』

「月島蛍」

『つ、月島、君? なんでドリンク持つの手伝ってくれるの?』


私の問いかけに月島君は盛大にため息をついた


「これ、バレー部のデショ?僕もバレー部。ドリンクないまま練習するとか有り得ないから」

『え、どうしてバレー部のって···あ!』


ドリンクが入っているカゴを見ると
大きな文字で “烏野高校男子排球部”
と書かれていた


『なるほど』


関心していると月島くんはくるりと
向きを変えて体育館へと歩き出した


「ほら、早くしてよね」

『あ、ハイ···』

「同じ1年なんだし敬語いらないよ」

『!?』


身長高いし凄く落ち着いてるし雰囲気
というか見た目というか···

絶対上級生かと思った···


「プッ、君、考えてること口に出てるから」


アハハと笑った彼の顔はどこか幼さが
残っていた

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