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アサガオの花

第3章 始まり




4月 ───────────

目の前には “宮城県立烏野高等学校” と
書かれている門

その門の前で私は今、立ち尽くしている


『ここが “小さな巨人” が通っていた学校···』

「お前! “小さな巨人”知ってんの?!」

『!?』


後ろから声がしたと思って勢いよく振り
返ってみるもそこには誰もいなくて···

前に向き直ると目の前にはオレンジ色の
髪をした少年が瞳をキラキラと輝かせて
立っていた


『わ!!』

「うわっ、ゴメンナサイ!!俺、日向翔陽!お前は?」

『え?あ、せりあ。妃 せりあ』

「せりあか。よし覚えた!!そんでさ、せりあは “小さな巨人” 知ってんの?!」


日向くんの瞳は未だキラキラしている


『そんなに詳しくは知らないのだけれど···私、小さな巨人に憧れて烏野に来たんだ』

「せりあもか?!」

『せりあ···も??』

「俺も!俺も “小さな巨人” に憧れてここに来たんだ!」

『え?!日向くんも?!』

「日向で良いって!うんっ、俺 “小さな巨人” に憧れてバレー始めて、そんで烏野高校に行きたくて必死で勉強して。そんでようやくこのときが来たんだ!」


拳を握って語る日向くんの表情はと
ても真剣で、思わず息を飲む


「おっと!こんなことしてる場合じゃないよね。早く行かないと遅刻しちゃう」

『え、もうそんな時間?!あ、やば。急ご!日向くんっ』

「おう!」









昇降口ではクラス表が張り出されている
みたいで、人混みも多くがやがやとして
いる


『あった。1年2組』

「せりあは2組か。クラス違ったな、残念。俺は1組だ」

『残念。だけど隣のクラスだね!』

「そうだな!教科書忘れたらせりあに借りに行くかんな!」

『う、うん』


それから途中まで日向くんと一緒に行き、
教室の前で別れた


1年2組のドアを開けると教室内はざわ
ざわとしていて、既にグループもちらほ
らと出来ていた

黒板に貼ってある座席表で自分の席を確
認して席に着く


「ねえ」


後ろから肩をトントンと叩かれてくるり
と向きを変えると、そこには赤みがかっ
たショートヘアの女の子がこちらをじい
っと見つめていた


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