第4章 3対3
勢いよくドアにぶつかったその人は
両手を額に当ててうずくまっている
「~~~~~ッ!!」
『も、申し訳ありません!大丈夫ですか?!···澤村さん』
澤村さんは額を擦りながら立ち上がる
心なしか涙目になっていた
「なに、これくらい大したことじゃないさ!悪かったな」
『いえっ、私の方こそ、本当に申し訳ありませんでしたっ』
澤村さんの額の真ん中が赤くなっている
「妃が気にすることじゃない。そんじゃ、俺は着替えてから体育館行くけど大丈夫か?」
『えっ···』
「そうだなー、だいたい20分後くらいに体育館に行こうと思う」
『え、あの、はいっ』
それを言うと部室のドアはパタンと閉められた
『澤村さんもしかして気づいて···?』
部室のドアの前で立ち竦んでいると
カンカンと誰かが階段を登ってくる音がした
その音で我にかえると今も体育館で
練習しているであろう3人にあと20分で
澤村さんが来ることを伝えようと体育館
に足を進めた
「あれ?妃さん?」
『あ、おはようございます』
階段を登ってきたのは菅原さんだった
「来るの早いね~、何かあるの?」
ニヤニヤとしているところを見ると
きっと菅原さんも気づいているんだろうな
『い、いえっ、特に何もありません!それでは私はこれで』
ペコリと一列をしてその場を後にした
少し急いで体育館に行くと案の定まだ
3人は練習をしていた
さっきは邪魔にならないように静かに
したけど今はそんなこと言っている
場合ではない
『あの!練習中にすみません!!』
声をかけてみるも3人には届いていないようで···
『あのーっ!!!日向くん!影山くん!田中さーんっ!!』
「せりあさんが俺を呼んでいる?!」
田中さんの耳はゾウのように大きくなっている
ってそんなことはどうでもよくて。
『澤村さんと菅原さんが!あと20分で体育館に来ます!なので』
私の言葉に3人の顔は一気に真っ青になる
「まじかっ!やべぇ!!お前ら練習は中止だ!!早く外に出ろ!」
「「うす!」」
『モップは私がやるから日向くんと影山くんは早く外に!』
日向くんと影山くんは大慌てでシューズ
を脱いで乱暴に荷物を持って外へと
掛けて行った