第4章 3対3
自動販売機で3人分の飲み物を
買うとその足で体育館へと向かった
中では日向くんと影山くん、そして
田中さんがパス練習をしている
3人とも私が入ってきたことに気づいていない
『(凄い集中力・・・)』
練習の邪魔をしたくなかったので、
ドアの横に買ってきた飲み物を置いて
静かに外に出た
『部室の掃除でもしてようかな』
既に太陽も登っていて、明るい。
階段を登り部室のドアを開ける
『うっ・・・?!』
ドアを開けると中からむわあっとした
空気と汗の臭いが広がった
一度ドアを閉めてから新鮮な空気で
深呼吸をする
そして、その空気を思いっきり吸い込んで
息を止めると再び部室のドアを開いた
部室にある唯一の窓を勢いよく開けると
外の新鮮な空気が入ってくる
『ッぷは~~~!!さすがに男子運動部だけあって汗の臭いすご~』
少しすると臭いも気にならなくなった
ので、改めて部室を見回すと、
『食べかけのパン···使い終わったコールドスプレー····そしてこれは···』
健全な男子高校生なら誰でも読んで
いるであろう “如何わしい本”
『はぁ・・・』
何も見なかったことにして静かに元の位置に戻す
そして戸棚にあるゴミ袋を1枚取ると食べかけのパンや使い終わったコールドスプレーを入れていく
少しするとゴミ袋はパンパンになった
次にはたきをもってパタパタと埃を
叩いていると戸棚に置かれている
一冊のノートが目に入った
『?』
手に取ってまじまじとそれを眺める
いけないと頭では分かっていても、
中身が気になって表紙をめくる
『“烏野高校男子排球部 ジャの道はヘビ”』
太いマジックペンで大きく書かれた文字
パラパラとページをめくる
『···何も書いてないじゃん』
ノートは最初の1ページ以外は真っ白で
何も書かれてはいなかった
持っていたノートを戸棚に戻して掃除を再開する
しばらくして部室は綺麗になった。
『ん、よし!次は朝練用にドリンク作っておかないと』
部室のドアを勢いよく開けると
ゴンッと鈍い音がした
『!』