第4章 3対3
部屋中に目覚ましの不快な音が鳴り響く
「んん···」
もぞもぞと布団から右手だけを出して
うるさく鳴っている目覚ましを止める
目覚ましの針は4:30を示していた
春とはいえ、外はまだ真っ暗だ
もう一度眠りにつこうとして今度は
携帯から着信を知らせる音が鳴った
布団に入れた右手をまた出して画面を
タップした
「もしも「せりあ朝だぞ!!!起きてるか?起きたよな?!早く体育館来いよ!もう影山もいるぞ!!」
夜も明けていないというのに声の主の
テンションは高かった
「んー···起きてる···え、ちょっと待って、もう学校いるの?」
「おう!せりあも早く来てバレー教えてくれ!」
「えっ···ちょ、ひな・・・切れた」
用件と私が起きたかを確認するや否や
あっという間に電話は切られた
まだ眠っていたい気持ちを抑えて
ベッドから起き上がった
軽く身支度を済ませてから家を出る
日向くんと影山くんの練習メニューを
考えながら学校へと向かう
歩いて20分程してようやく学校に着いた
「体育館···は鍵がかかってるよね。部室、もあの2人はまだ入部してないし使えないよな~」
てっきり校門にいるものだと思っていたが、
そこに2人の姿はなく、校内を探している
と野球場の方から何やら声が聞こえてきた
「日向ボケェェエエ!今のは取れたボールだろうが!」
「ゼェ···ゼェ、う、うるせぇ!もう1本だ!!」
2人の邪魔にならないように
少し距離を取って練習を眺める
「(日向くんはレシーブの姿勢を直す必要があるわね。影山くんは···さすがとしか言いようがないわ)」
無駄ばかりの日向くんとは違って影山くんの動きにはこれっぽっちも無駄な動作が見当たらない
影山くんの打ったボールを日向くんが
レシーブするもボールはあさっての方向へ
と飛んでいく
おまけにレシーブする毎に日向くんが
ボヘーとかグハーとか掛け声をあげて
ひっくり返るという始末・・・
思わずため息が出てしまう