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アサガオの花

第3章 始まり



“少なくとも、俺達3年がいる間お前にセッターはやらせない”

“俺はセッターですっ!!!”



帰り道 ───────

さっきの影山くんと澤村さんの言葉が
頭から離れない

そもそも澤村さんはどうしてあそこま
で厳しいのだろうか

いや、春高目指してるって言ってたし
確かにチームワークも大事だよな…


『はぁ・・・』

「何ため息ついてるの?」

『うわっ!?』


1人で歩いていると思っていたから突然
顔を覗き込まれてビックリした


「チョット、大声出さないでよ。近所迷惑」

『あ、ゴメンなさい』

「まぁ、今のは僕が声をかけたせいっていうのもあるケド」


首にヘッドホンをかけて制服姿の月島
くんは片手を口元に持っていき、くつ
くつと笑っている

なんか、同じ1年生に見えないんだけど···


『月島くんも1人で帰ってるんだね?』

「ん、いや。いつもは山口と帰ってるんだけど、今日は用事あるとかで先帰った」

『山口くん?』

「同じバレー部。ていうか君、バレー部のマネージャーになったんだってね」

『うん。澤村さんにお誘いいただいて。だからこれからよろしくね、月島くん!』

「せいぜい頑張りなよ」


そう言うとすたすたと先を歩いて行く

そんな月島くんの背中をぼーっと眺めて
いると、月島くんがくるりと振り返った


『?!』


私と月島くんの距離は2mもないくらい


「チッ、君って歩くの遅いよね」

『月島くんが早いだけだからね?!』

「僕、君と違って足長いからね」


あ。これはバカにしてる顔だ


「あ。そう言えば日向と王様が勝負しかけるように言ったのって君だよね?」

『え?! な、何のこと・・・』

「プッ、君って嘘もつけないんだね」


ついに月島くんが笑い出した


「あの単細胞2人組があんなこと考えつく訳ないもんねぇ?」

『うっ・・・澤村さん達に言うの・・?』

「僕がチクるタイプに見える? 興味無いし誰にも言わないよ」

『あっ、ありがとう月島くん!』

「別に君の為じゃないし!面倒臭いだけだから!」


プイとそっぽを向いて歩き出す月島くん


あれ?
さっきより歩く速さゆっくりになった?

ああ、そうか
私のスピードに合わせてくれてるのか


ため息をついているけど、意外と優し
い一面もあるんだなって思った帰り道


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