• テキストサイズ

霞始靆【DRIFTERS】

第2章 引


「妙な格好だのう……何処から来おった、小娘」

「私も、興味があります」

「日の本言葉、通じちょるんか?」

「…………」

覗き込まれた状態のまま。

彼らは、私の顔の上で会話を進める。

赤、青、白。

ヨーロッパに見る、国旗みたいな配色。

背景の青空に、良く映える。

「言葉は解るか?」

おじ様の問い掛けに、首を縦に振った。

「名は何と言う?申してみよ」

殿様みたいな物言いに。

「………… 、です」

名乗りを上げる。

「俺は信長……織田前右府信長である」

おだのぶなが?

あの、おだのぶなが?

本物の殿様で。

「ホトトギス、殺す人だ」

私の呟きに。

「殺したんか…?」

「怖ーい」

他の二人が身を引いた。

「殺してねぇし!」

後世の人が、人柄を詠んだ詩だから。

実際の『織田信長』は、そういう人じゃないのかも。

「……知らんなぁ」

「私の御代とは、違うようです」

「おいも知らん」

三人揃って首を傾げる姿が。

何だか、とても可愛くて。

私は小さな声を出して、笑ってしまった。

「どうした、。可笑しなことがあったか?」

織田信長は、片方の眉を上げて問う。

「言うてみよ」

この覗き込まれた状態じゃ、逃げることもできない。

聞かれたことには、全て正直に答えなければ。

髑髏の盃にされてしまう。

「揃って首を傾げるのが、可愛かったので」

私は素直に答えて、三人の様子を窺った。


下手したら、殺られる。

夢の中でも、それは嫌だ。

/ 13ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp