• テキストサイズ

霞始靆【DRIFTERS】

第2章 引


「お初に御目にかかります。私は那須与一……那須資隆与一で御座います」

見上げた視線の先には。

青空に溶け込むような青い服を着た、美少年。

長い髪が、風に揺れる。

「…………」

なすのよいち?

そんなアイドル、いたっけ?

人並みに、テレビも雑誌も見てるけど。

こんな綺麗な男の子、知らない。

「目を覚ましましたよ、御二方」

彼の声に。

起き上がる間もなく、更に二つの影が落ちてきた。

「お前は誰ぞ?」

最初に聞いた声の主は。

大きな目を瞬かせて、首を傾げた。

「何処ぞの間者、では無さそうだのう」

もう一人は、長髪のおじ様。

口の端を上げて、ニヤリと嗤う。

「どちら、でしょうか……」

美少年は、目を細めるけれど。

「判らんにゃー」

おじ様は、愉しそうに。

「声ば出んのか?」

もう一人は、訝しげに。

私の顔の上で、会話をしている。



あの。

見知らぬ御三方。

アンタら、顔が近いです。

お願いだから、もう少し離れてください。

恐怖心よりも、その近さに。

意識が集中して、喋りにくい。

この状況じゃ。

起き上がることも、できませんから。

一旦、退いてほしいんですけど。

/ 13ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp