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付喪神様の御座します処【刀剣乱舞】

第1章 何光年でもこの歌を口ずさみながら【同田貫正国】


「どうしたの? ぼーっとして。疲れてる?」
莉央は同田貫の体を揺さぶった。
「いや、なんでもねぇよ。ほら、これ着ろ」
同田貫は気を取り直して再び半纏を莉央の肩に掛けた。
「うん、ありがとー。でも疲れてたら言いなね?」
莉央はその半纏に腕を通しながら笑った。
同田貫はそんな彼女の傍らに控えると、莉央の仕事振りを眺めながら先程の声を思い出していた。
けれど最後まで、彼はその正体を掴めることができなかった。




それは、あれから数日もしない内に起こった。
その日も同田貫は、近侍として審神者の執務室へ向かっていた。
外は昨日降った雪が所々残っている。
突然、本丸内に凄まじい轟音が響く。
その轟音はまさしく彼が今向かおうとしていた場所からしたのだ。
「今のは……!」
『そういえば、最近他の本丸で時間遡行軍の襲撃があったらしいね』
そう言っていたのは歌仙だったか。
同田貫は抜刀すると、急ぎ莉央の元へ走った。

執務室は、時間遡行軍の襲撃で荒れ果てていた。
しかし同田貫の目には、それよりも先に目に入ったものがあった。
「……莉央!!」
同田貫は、時間遡行軍の腕の中で気絶している主の名を呼んだ。
それと同時、遠くから再び轟音が響いた。
どうやら、本丸のあちこちで時間遡行軍が暴れているようだ。
「てめぇら!! そいつを離せ!!」
同田貫は、眼前の敵に切っ先を向けた。
しかし莉央を抱える敵は踵を返すと、庭を駆け抜けようと走り出した。
「おい、待て!!」
それを追おうとする同田貫。
しかしながら彼の前に別の敵が立ちはだかり、莉央を追うことを阻害する。
「チッ……!! 邪魔だ!!」
敵を切り伏せる同田貫。しかし敵は臆することなく彼が進行を妨害する。
「同田貫!!」
その時、背中から彼の名前を呼ぶ声が響く。
歌仙が駆けつけてきたのだ。
「ここは僕に任せて、君は主を追ってくれ!!」
抜刀した歌仙が同田貫の前に躍り出る。
「悪ぃな! ここは任せた!」
同田貫はそれを見るや、主を拐った時間遡行軍を追うために走り出した。
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