• テキストサイズ

付喪神様の御座します処【刀剣乱舞】

第1章 何光年でもこの歌を口ずさみながら【同田貫正国】


「つまり、あんたの前世のその……想い人の優之介とやらが、俺を使ってたってわけか」
二人は執務室で腰をかけ相対している。
「うん、そうみたい……。私の前世の人が死ぬまでその人の最期を気にしててさ。審神者になったのも、まぁ、あの人の刀に会えるかも~って期待してたからなのよね。まさか本当に会えるとは思わなかったけど」
屈託なく笑う莉央から、同田貫は思わず目を反らした。
「期待してるところ悪ぃが……生憎俺には、その優之介とやらの記憶はねぇぞ」
「え?」
莉央はキョトンと同田貫を見上げた。
「俺は『同田貫』の刀の集合体でよ。俺の中には幾多の『同田貫』の記憶がある。兜割りを成功させたヤツ、寺にいるヤツ、海を越えて遠い異国へ行ったヤツ、全部だ。そのお陰で、あんまし有名じゃなかったヤツの記憶は結構ボンヤリしててよ。俺の中には勿論優之介とやらの使ってた『同田貫』はいるはずだが、多分他の記憶に押し退けられてるな」
「え~と……つまりは特別な日の記憶は鮮明に残ってるけど、平凡な日常の記憶は曖昧……みたいな?」
「……まぁそういうこった」
そういう同田貫ではあるが、彼女の例え話には少々不服のようである。
「う~ん……そっか~。ま、いいか。私も前世の記憶があるとはいえ、結構断片的だし。そーいうもんだよね。こうして顕現してくれただけでも、めっけもんね」
莉央は立ち上がり、背筋を伸ばした。
「さてと、じゃあ早速本丸内を案内しないとね。皆にも紹介しなきゃ」
莉央に続いて、同田貫も立ち上がる。
二人は執務室を後にすると、本丸内を巡りに行った。
/ 47ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp