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付喪神様の御座します処【刀剣乱舞】

第4章 ある暖かい日の朝【歌仙兼定】


「全く、君には本当に世話を焼かされるねっ」
「うぅ……。面目無いです……」
歌仙兼定は朝餉にと作っておいたお味噌汁をお椀によそうと、莉央の前の机へ置いた。
莉央は震える手でそのお椀に触れた。
お椀の温もりが、指先を伝って莉央の身に染みる。

あれから二人に池から引き上げられた莉央は、服を着替えて、ヒーターの用意された大広間へとやって来て暖をとっていた。
そんな莉央を見かねた歌仙が、彼女の元へやってきたのだ。
「悪ぃ、歌仙。俺たちがついていながら」
その横で、申し訳なさそうに薬研と厚が頭を下げている。
そんな二人に、歌仙は優しく微笑んだ。
「いや、君達のせいじゃない。……ただ僕たちの主に、危機管理能力が無かっただけさ」
けれど莉央を見下ろした歌仙はうってかわって、小さくなる主に呆れ返っている。莉央の身は更に縮こまりそうである。
「ところで、二人とも。そろそろ皆を呼んでくれないかい? 朝餉の準備が整ったからね。今日は自信作なんだ」
「おぅ。そんならちゃちゃっと行ってくるぜ。……大将のこと、頼んだ」
歌仙の頼みを快く受けた厚と薬研は、大広間を後にした。

「……二人に、心配をかけてしまった」
莉央は肩を狭めて申し訳なさそうに目を伏せた。
歌仙はそんな莉央の前に座りながら、深いため息を吐いた。
「そう思うなら、もう少し落ち着きを持って貰いたい。僕たちの主がこんなことでは、示しがつかない」
「う、返す言葉もございませぬ……」
莉央は苦虫を噛み潰したような顔で、手に持ったお椀に口をつけた。
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