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付喪神様の御座します処【刀剣乱舞】

第3章 例え自分が何者でも【山姥切国広】


「山姥切~! 美味しいお団子を買ってきたの~! 一緒に食べよ~!」
山姥切国広は、自分の主・莉央の無駄に喧しい声を聞いて、鬱陶しげに頭を振った。
「なんで俺に……他のヤツと食べればいいだろ」
「それはぁ……ええと……うん、私は山姥切と食べたいのよ! 山姥切、お団子は嫌い?」
妙な間が気にはなったが、彼はあえてそれを無視した。
莉央は満面の笑みで山姥切に手に持ったお団子を差し出す。
その主の様子に、彼はたじろぐばかりだった。

二人は縁側で肩を並べ、団子を頬張る。
「それで、写しの俺に一体何を求めているんだ?」
「えぇ?」
どうやら莉央にとって、彼の問いは予想外のものであったらしい。
「わざわざこうして口実まで作って声をかけたんだろう? 用件があるなら聞く」
「……用件がなきゃ、ダメかな? お話するの」
「写しとの会話など、つまらないだろう」
「……。ねぇ、山姥切」
「なんだ」
「その……」
あまりに判然としない主の態度に痺れを切らした山姥切は、彼女を振り返った。
「こんなことを言ったら、怒るかもしれないけど……山姥切は、素敵な刀だよ? 写しとか、そういうの関係なく」
しかし彼女の言葉に、山姥切は憮然とした態度で立ち上がった。
「団子はごちそうになった」
「あ、あの……」
そんな彼の背に莉央は何か声をかけようと手を伸ばした。
「あんたが何をたくらんでいるかは知らないが、それは俺自身の問題だ。……あんたが気にするようなことじゃない」
にべもない態度ではあるが、莉央は確かに、立ち去る彼の背中に悲しみを見た。
(……上手く行かないなぁ)
莉央は団子を頬張りながら考えた。
(彼、もっと自分に自信を持てばいいのに。せっかくいい刀なのに、勿体ない)
それは前々から莉央が考えていたことである。
しかし、彼の心が開かれることはなかった。
莉央は何としてでも、彼に自信を持って欲しいのであった。
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