第3章 《ルイ》 はじめて
「でもルイも来るんでしょ。招待客は挨拶程度にして彼と居ればいいんじゃないの?」
「うん。。。招待状は出したけどルイはこのこと知らないからきっと驚いてると思う…。
ルイは優しいからきっと来てくれるけど
両想いになった途端に私の相手探し目的の舞踏会を開くなんてことになって、呆れられちゃうかも。
私にはルイしかいないのに…」
眉をハの字にしてぽつぽつと不安を口にするリア。
惚気を口にしていることは無自覚のようだ。
「プリンセスがせっかく決まったのに
次期国王決めのための公的な催しは出来てなかったから形だけでもやっておきたいんだよ。
正直、リアちゃんとの関係がなかったとしてもルイは次期国王候補№1だったし、
まだ公になって居ないだけでリアちゃんと関係ができた今、もうルイに太刀打ちできる奴はいない。
ジルやアランも俺もわかっているから無理はさせないようできることはやる。
面倒だけど、周りの頭が固い奴らのためにも頑張ってくれないかな。」
緋色の瞳は優しさを湛えてプリンセスの背中を押す。
そんな顔されたら断れやしない。
「弱気になってごめんね。いつもありがとう、レオ。」
少し元気を取り戻した微笑みが返ってきてレオもほっとする。
「さて、選手交代の時間だ。またね、リアちゃん。」
すっと立ち上がり教材をまとめて立ち去ろうとするレオ。
「え、でもまだ少し時間余ってるよ?」
座学の時間がまだ余っているのに終わらせようとするレオにリアは首を傾ける。
それにこたえる代わりにリアの後ろに視線を送り合図する。
振り返った先に居たのは今まさに噂をしていた彼。
「っ…ルイ!」
驚き目を瞬かせるリア。
「レオ、ありがとう。」
気遣ってくれたレオに感謝を述べるルイ。
レオはひらひらと手を振り去ってゆく。
扉が閉じられ二人きりになる。
「ルイどうしたの?またジルや陛下に呼ばれていたの?」
ルイと会えるのは嬉しいけど今は少し気まづくて他愛もない質問で誤魔化すリア。
「いや、リアに会いに来たんだ。」
「私に?」
ドクンと心臓の音がした。