『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔
第4章 片思いがこんなに辛いなんて
貴方の口から聞きたくなかった『朗報』
私から言えばそれは『悲報』
この日が等々来てしまったのか
なぜだか涙は出なかった。
周りは祝福し『リア充爆発しろ』
などの冷やかすような声を耳にした
聞きたくない、笑い合わないで
自分がどんどん汚く見えて
吐き気がする、耳を塞いでしまいたい
そう思えた。その時バンッと机を叩いた
一人の男子、夜久衛輔がいた。
どうしたとザワつく教室で
私に近付いた彼はギュッと
私の手首を引いて連れ出した。
そう…連れ出して“くれた”のだ。
「あの、夜久くん…まっ、待って…もう直ぐで。あの…授業が始まるけど」
「お前さ、なんでそんなにヘラヘラ笑ってられるんだよ…」
「えっ…?」
「見てるこっちまで辛くなんだよ!朝倉、お前…黒尾の事が好きだろ」
言わないで、言わないで
笑わないと、違うって…
気の所為だって、笑わなきゃ
視界が歪む、なにも見えない
涙で前が見えない。でも…だけど
「違う、ちがうの…言わないで…お願い。二人の事…傷付けたくないから…」
声が震える、胸が熱い…
あぁ…夜久くんの前で
精一杯、笑って言えただろうか。
ーーー…
静かな空いた教室で
夜久くんと二人きり
私はぽつりぽつりと
彼に全てを打ち明けた。
それでも夜久くんは優しかった
私が黒尾くんを好きで
恋愛相談に乗っている事も
ユカと黒尾くんが両想いだというのも
全て分かっていたようだった。
そんな傷付いても笑っている私を
彼は見ていられなかったのだと
私を慰めつつ伝えてくれた
助け出してくれたのだ。
「俺さ…辛かったら相談にのるから」
「優しいんだね、ありがとう…」
目を腫らして私は笑う
子供のように泣いてしまい
授業は一限目サボってしまった
そんな私を夜久くんはなにも発せずに
無言で傍に寄り添ってくれて
「片想いって辛いね…」
「そうだな…」
黒尾くんはこれからユカと仲良くなって行く
恋愛相談と言う私の下心は終わりを告げる
今日できっと貴方と話す事はなくなるだろう
大好きでした、さようなら…
そう割り切れるような恋だったら
簡単に諦めもついただろう…
楽しげに笑う二人を間近で見る
それは、私は耐え切れるだろうか
笑う事が出来るだろうか
あぁ…胸が張り裂けそうだ
なんて大袈裟かなと
止まっていた涙が溢れ出した。
『片思いがこんなに辛いなんて』