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『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔

第23章 放っとけないと思った…黒尾鉄朗。


これは朝倉さんを守らなければ
この飢えた男どもから純白な彼女を…
そう妙な正義感が俺の中で出来上がっていた

ーーー…

朝倉さんが優し過ぎた、頼られると
断り切れない性格であり帰宅部なのに
担任から雑用を任されているのを見た
身長の低い朝倉さんには酷な雑務に
手伝おうと頭よりも先に体が動く

廊下の掲示板に足をぷるぷるさせて
ポスターを貼る作業…なんかこれはこれで
可愛いから見ていたいと言う思いもあるが
後ろから声を掛けてポスターを奪い去る

「く、黒尾…くん…どうして…」
「主将会議で呼ばれてねー…大変そうだし俺も手伝おうか?」
「!…い、良いよ!良いよ!黒尾くん今から部活あるし、一人でも大丈夫!」
「でも二人でやった方が早いでしょ?まぁ…あれだ、ここは僕に任せて下さい」

キリッとしたキメ顔を作ると
普通の女子なら笑って頼るというのに
朝倉さんは悲しそうに目を伏せて
申し訳なさげにごめんねと謝って来た
しっかりしていて頭はいいのに
要領が悪く世渡り下手って…
なんか見ていて放っとけないなと思った

俺は要領が良いし世渡り上手であり
正反対の彼女を見ていると
普通なら苛つくはずだが
なぜか俺の中で苛立ちは起こらなかった

テープでポスターの端を止めて作業は終わる
空になったダンボールを抱く朝倉さんは
「ありがとう、本当にごめんね…」
と苦笑いして見えて
俺は気にすんなよと笑い返せば
目を見開いてバッと勢い良く
顔をうつむかせていた

逃げるようにダンボールを抱き抱えて
去って行く朝倉さんの後ろ姿を見て
なにか気に障るような事をしただろうか
そう少しばかり心配になった

ーーー…

成雲が朝倉さんに抱き着くのを良く見た
朝倉さん、そこ場所代われ。なんて
思い百合百合しい二人を視界に入れて
成雲の隣が俺だったらいいのに…
そう柄にもなく考えてしまう

ーーー…

成雲はモテるし
なにより元気があって可愛い
バレーに打ち込む姿はカッコイイ
友達という距離までは近付けたが
これ以上は情報が足らな過ぎる
だから朝倉さんに頼り
協力して欲しいと言った

「うん、分かった」

どこか元気がなさそうに笑う朝倉さんに
違和感を感じながらありがとうと笑った

『放っとけないと思った』
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