『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔
第22章 IF…貴方が私を好きでいてくれたから
帰ってしまう貴方を呼び止めたくて
私は走り正門を通る夜久くんを
見つめて大声で名を呼んだ
振り返る貴方はとても驚いていて
「夜久くん!」
「なっ…お前なんでここにいるんだよ!」
「だってまだ!チョコレート、渡してないから!」
渡したいの、貴方に…
私の想いも全て、気持ちを伝えたいの
だから…お願いします。私に力を下さい
ギュッと掴んだブラウニーとチョコレート
声が震えるようで胸が締め付けられる
ここまで緊張したのはいつ以来だろうか
「夜久くん…先ず尋ねてもいいですか?」
「…朝倉、もしかして…」
「はい、言っちゃいました…」
「そっか…」
「それで、なんですけどっ!あの…だから…」
言え、言うんだ…
貴方を好きになってもいいですか?
貴方は私をまだ好きで
いてくれていますか?
貴方が私を助けてくれて
連れ出してくれたあの日から…
本当はどこか引かれていた
のかも知れない
今更気付くなんて…
私はなんて馬鹿なんだ
貴方はいつも私だけを
見てくれていたと言うのに
「どうした…泣きたいなら泣けよ?当たって砕けたなら、今度は俺が朝倉を慰めて貰ってやる」
「!っ…あの夜久くん。まだ告白の返事、有効期限はありますか」
「はっ?」
私の言葉に夜久くんは戸惑う
貴方が素直に笑えと言ったから
歪な笑みでも好きだと言ってくれたから
私は精一杯貴方の前で笑って見せた
手に持つチョコレートを差し出して
真っ直ぐ夜久くんを見つめる
「夜久くん…私、貴方を好きになってもいいですか?」
「はっ…?」
「想いを直ぐに断ち切る程、私は器用じゃないから…まだ出来ないけれど」
「朝倉…」
「私は夜久くんが好きです…こんな駄目な私でも良ければ、夜久くんの傍に居させて下さい…お願いします」
泣くな、笑って伝えろ
幻滅されたかも知れない
でも伝えたい、貴方が大好きなんだって
そんな私に貴方はくしゃくしゃと
優しく頭を撫でてくれる
あぁ…この手が私は大好きだ
「本当にいいんだな。後で黒尾が良かったって言っても逃がさねぇから…諦めが悪くてごめんな」
「違う…私が夜久くんを沢山傷付けたから」
「馬鹿だろ、俺はお前がいいんだよ…四葉が好きだ。俺が誰よりも幸せにしてやるから…」
貴方の言葉に涙ながらに笑い抱き着いた
『IF…貴方が私を好きでいてくれたから』