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『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔

第17章 私がこの気持ちに押し潰されそうなことなど貴方は知らないだろう


渡せずに終わってしまった
バレンタインデーの次の日
彼は怒っているのかと思ったが
黒尾くんは普段通りに話し掛けて
私を見て笑い掛けてくれた
その笑顔は今見るのが辛い

「朝倉さん、どうしたんだ?」
「ううん…なんでもないよ」

私は笑って言うが
罪悪感で押し潰さそうだ
やはり昨日の事を全て謝って
素直に言おうと彼を見る

「あの…黒尾くん」
「美味しかった」
「えっ…」
「ブラウニー…」
「な、んで…」
「夜久に一口貰ったの、俺の分がなかったのちょっとショックだったけどさ…そう言う日もあるかなって?」
「!あの、本当にごめんなさい…」
「あぁ、いや…別に責めてる訳じゃないから」

謝る私に黒尾くんはあたふたして
苦笑いを浮かべている
違うんです、本当は持って来ていた
なのに私は捨ててしまった
少しでも楽しみにしていてくれていた
なんて思っておらず申し訳ないという
言葉しか浮かばずにはいられない

「だから明日また作れたら俺にくれない?」
「へっ…?」
「だってさ周りにはあげたのに、俺だけ貰ってないとか不公平じゃねぇ?夜久に貰ったのはノーカンとして…俺の為に作って来て、全部食うから」

自信げに笑う黒尾くん
どうして貴方は優しくて
私に欲しい言葉をくれるのだろう
作るよ、必ず…貴方の為に今度こそ
気持ちをモノに変えて伝えよう
沢山のマカロンを箱の中に詰めて…

ーーー…

家に帰ってマカロンを作り始める
伝わって欲しい…脇役の私でも
こんなに貴方が大切で大好きなんだって
その気持ちを私は伝えたい
友達からは抜け出せないけれど
食べて欲しい…貴方の口で
そして美味しかったって笑って欲しい
私にはそれだけで充分だから
この想いは私の中に閉まっておこう

ーーー…

「朝倉さん、おはよ…朝から会うのってこの前の電車振りだな」
「黒尾くん!」

次の日また電車のホームで
貴方に出会えた
鞄の中に入ったラッピングされた
マカロンを取り出す
目を丸くする黒尾くんは
えっ、俺にくれるの?
見たいな顔をしていた
これはまさかの渡すタイミングを
間違えてしまったようだった
サー…と血の気が引いて行き
どうしようもなくなった
マカロンを鞄の中にしまおうとする
も彼に手首を掴まれてしまい
それは叶わなかった

「えっと…ご、ごめんなさい…」
「なんで謝んの?凄く嬉しい」
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