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『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔

第13章 その言葉だけは聞きたくなかった


2月に入り周りの女子は
キャッキャとレシピ本やサイトを
検索しつつ話し合っている
どうしようかと私も会話に参加して
いれば、一人の女子が私に聞いた

「最近、黒尾くんと夜久くんから言い寄られてるけど…どっちが本命なの?」
「はっ?」
「ユカと別れたなら黒尾くんって今フリーでしょ?四葉と良く話す姿見るしさ…」

まさか脇役の私がそんな標的に
回るとは思っておらず
苦笑いするしかなかった
そういうのじゃないと否定して

ーーー…

「朝倉さん…あのさちょっといいか?」
「黒尾くん、どうしたの」
「もし良ければなんだけど…俺と一緒に帰らねぇ?」
「………はい?」

今日は体育館が使えないようで
部活は中止したらしい
そしてなぜ私を誘うのか
彼の行動に首を傾げてしまった

望まないと思っていたのに
一体またどうして?
黒猫だからただの気まぐれ?
懐かれたのかと思えるくらい
最近やけに黒尾くんは
私に話し掛けてくれたけれども

私の中で断ると言った理由はなくて
嬉しさと戸惑いの間を私の心は
彷徨いながら曖昧に頷いた

「やっぱりそろそろバレンタインのシーズンだからどこもかしこもチョコレートしか売ってねぇなー…」
「そうだね…あっ黒尾くんは甘い物とか平気?」
「それは大丈夫…って事は俺の為に作ってくれるの?えっ、本当に?」
「えっと…作って欲しいって言わなかったっけ?ごめん…もしかして社交辞令とかそう言うのだった?本気にしちゃ駄目だったかな…」

貴方の口から作って欲しい
と言われて私はてっきり
チョコレートが欲しい
とか思っていたけれど
考えて見れば黒尾くんは
モテるし、私のチョコレート
なんて貰えればそれでいい
見たいな…社交辞令だった
という可能性もあるのだ
そう考えれば、とても
恥ずかしくなって来た

紅くなる私は苦笑いで
気にしないでと言えば
黒尾くんは驚いたように
私の顔をじっと見下ろして来る

「あのさ…俺朝倉さんのチョコレートが欲しい、作ってくれない?」

照れ笑いする彼を見上げて
あぁ…私は少しだけ
自惚れてもいいのでしょうか
そう考えてしまった

ーーー…

けれど貴方は私の期待を裏切るのだ

「俺さ、気になる人が出来たんだ…また協力してくれない?」

あぁ、やはり私はヒロインにはなれない…

『その言葉だけは聞きたくなかった』
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