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『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔

第13章 その言葉だけは聞きたくなかった


最近黒尾くんは私に話し掛ける事が
増えたように感じた。何気ない会話に
私は笑って頷く、そんな日々である。

「そう言えば朝倉さんってバレンタインどうするの?」
「バレンタイン…とは?」
「2月14日に祝われ、世界各地でカップルの愛の誓いの日とされる。もともと、269年にローマ皇帝の迫害下で殉教した聖ウァレンティヌス(テルニのバレンタイン)に由来する記念日だと、主に西方教会の広がる地域において伝えられてーー…」
「いやいや、そんな説明いらないし求めてないから…」
「だって朝倉さんがバレンタインとは?って俺に聞いて来たからさ…勿論俺にもくれるよな?」

ニヤニヤと不適切に笑う彼
義理ですね、分かります
望まない、だから本命は渡せない
貴方の口から聞いた言葉
“彼女は作らない”だから私は
想いを伝えないし伝えるつもりはない
貴方の重荷にはなりたくないから

「ちなみに僕は手作りを希望します」
「…手作り、ですか?」

私はまだ作るとか決めていないのに
貴方は嬉しそうに笑うから
これは作らないと駄目だろうかと
黒尾くんの目を見て苦笑いした

ーーー…

ユカとは気まずくなってしまい
最近話す事がなくなった
学校の休憩時間を使いスマホを弄る
後ろから至近距離で声を掛けられた

「なに朝倉、チョコレートでも作るの?」
「ぅわっ!?や、夜久…くん」
「へぇ…それって黒尾にでもあげるか」
「えっ…あ、えっと…」
「…別にもう付き合ってねぇなら気持ち伝えたらいいんじゃねぇの」
「で、でも…」

それは無理だ。彼の心に付け入る
だなんて私には出来ない
好きだなんて…私は言えない
だけどどうして夜久くんは
そこまで親身になって
私を助けてくれるのだろうか

「夜久くんは…私の事好き、だよね?」
「…好きだよ、でもお前が幸せになれるなら俺は応援するって言っただろ?」

俺の事はいいから、自分の事を
先ずは考えろ。なんて夜久くんは
私に言う。優しい言葉に胸が傷んだ
私は夜久くんのように
自分を犠牲にしてまで
相手の幸せを望む事は出来ない

一方通行な恋であり
誰も幸せにはならない

脇役という立場から
私は悪女へと変わってしまった
誰かを傷付けて誰かに傷付けられて
脇役はヒロインにはなれないというのに
馬鹿見たいに一人浮かれてしまうのだ

バレンタインはもう少し
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