『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔
第12章 ああ、ほらまた好きな理由がひとつ増えた
分からないよ、そんなの…
ユカの悲痛の叫びに私は困惑する
一体二人に何があったの?
でもユカは私の前で泣いて怒って
その表情で私の心は沈んでいく
ねぇ…どうして?
なにもかも持っている貴女が
怒って泣くの?
ユカの彼氏は黒尾くんで
貴女は可愛らしくて頭も良い
運動だって出来るのに
私だって大勢の前で泣きたいよ…
でも私の中のプライドが許さなかった
ーーー…
女子が多かった時に言われたから
周りに尻軽だとか淫乱とか
そんな言葉で罵られるかと思えば
周りは苦笑いで私を見て
大丈夫かと心配した
詳しくは知らないが
最近上手く行っていないらしい
と友人は言う。ユカは酷く荒れていて
誰構わずにヒステリックになるのだと
友人は困り果てていた。
ーーー…
「黒尾くん…今いい?」
「!…朝倉、さん…」
移動教室の時、そっと貴方を呼び止めた
もう関わらないと決めたのに
暗い貴方がやはり心配になったから
私を見た黒尾くんは助けを求めている
そんな目をしていた気がした
授業を受けてから貴方を呼び出す
人気のない空いた教室で
一体なにがあったのか尋ねると
黒尾くんは無理に笑って口を開く
「ユカが…浮気って嘘でしょう」
「一ヶ月の記念にプレゼントとか買いに行った時さ、偶然ユカの姿とか見たんだよ…話し掛けようかと思ったら他に男がいてさ」
「いや、でも…ユカは黒尾くんの事好きだよ?」
「それは分かってる…でも素直に許せる程俺って心広くないんだわ」
「黒尾くん…」
偶然浮気を見てしまって
プレゼントを渡した一ヶ月から数日…
まだ浮気を止めていなかったユカに
流石の黒尾くんは耐え切れず問い質した
するとユカは私と黒尾くんが一緒に
仲良さげにしている事が原因なのだ
そう泣きながら彼に伝えたらしい
しかしユカが思っている関係では
全くなくて、私と彼はただの友人
それを説明しても彼女は子供のように
駄々をこねて、私以外と仲良くしないで
なんて言ったらしい…
けれどユカはどうなんだ
浮気は別だろうと
黒尾くんは色々と面倒になってしまい
冷め切ってしまったようだった
「でも…ごめんね、私が原因だって分かってたらこんな事には」
「朝倉さんが謝る事じゃねぇよ、ユカ自身が元々浮気症な所はあった見たいだしさ…」
苦笑いで言う貴方が
とても我慢しているようで
私の心を締め付けた