『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔
第12章 ああ、ほらまた好きな理由がひとつ増えた
距離をおこうと伝えて、数日…
黒尾くんからも、私からも
話し掛ける事はなくなった
仲が良かった。そう周りからも
思われていたから、不思議がられた
だけどなにもないと笑って言った
自習時間、大きなため息と共に
私はシャーペンをノートの上に転がした
真面目だけが取得だった私は
いつからやる気のない女に
なってしまったのだろうか
騒がしい自習時間、隣りにいる黒尾くんは
誰かと話す訳でも、ユカの元へ行く訳でも
なくてただ机の上に伏せてしまっていた
珍しい、中心にいる貴方が参加しないなんて
こんな珍しい事があるのだろうか
遠くから黒尾くんの名を呼ぶ男子の声
起きてはいるのか、伏せながら
手のひらを頭の上に上げてぷらぷらと
させて見えた。調子が悪いのだろうか
どうしても心配になって来る
「朝倉、今いいか?ちょっと教えて欲しい問題があるんだけど…」
「夜久くん、真面目に勉強やってたんだ…」
「俺をなんだと思ってるんだよ」
いや、夜久くんも中心にいるタイプだから
てっきり男子に呼ばれていたのかと
そう思っていたんだけど
夜久くんに聞けば断りを入れたようだ
しかし私もそこまで出来る訳ではない
戸惑いつつも、分からないと言う
問題をノートや教科書を開いて
説明して行った。そんな姿を
黒尾くんが見ていたとは知らずに…
「どうかな、分かった?」
「あぁ、凄く分かりやすい…なぁ。このノート見せて貰っていいか?」
「いや。でも読みにくいかも…」
「寧ろ読みやすい。字とか綺麗だし…」
そんなに褒められると流石に照れる
ありがとうと笑う私に夜久くんはいう
「やっぱり笑ってる方が良いな…可愛いと思う」
夜久くんに笑顔を見せた事があっただろうか
作り笑いとか、泣き顔とか
不細工な表情しか見せた事がなかった
今、ほんの一瞬素直に笑えたように思えた
ーーー…
不思議だった、ユカが一度も黒尾くんに
話し掛けに行かないのだ
寧ろ申し訳なさげに黒尾くんを見る
ユカの姿を見てとれた
なにかあったのだろうかと考える
私はそっとユカへ訪ねた
「ユカ、どうしたの…なにかあった」
「なにかあった?そんなの全部四葉のせいじゃない!」
「えっ…でも私は黒尾くんと最近話していないし」
「それが原因で、余計私の事を見なくなったんでしょう!なんなのよ、鉄朗は私の彼氏なのに!ねぇなんでよ!」