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君と私と(非)日常

第12章 君と私と愛の鍵①


物語の続きを考えるように、今の状況に少しずつのめり込んでいく。
『職務放棄だし、そもそも犯罪だし……私情を挟むなんて好ましくないことで、2つの組織の板挟みになるなんて自業自得でしかないけど………でも、出来れば幸せに終わらせたいな。』
これはフィクションで、妄想で、夢で、ただの一夜の過ちで………。
……なら、出来るだけハッピーエンドに終わらせたいじゃないか。
これは現実じゃない。私たちにあったはずの日常を侵害する酷い現実とは違う、そこら辺に転がってる落書きのような理想や空想なんだ。
『王馬くん……「私」はどうしたらいい?。どうしたら、君と一緒にこのまま過ごすことが出来ると思う?。』
物語の結末はどうなるのか。現実を煽るのか……それとも夢想として一時輝くのか。
それは妄想を描いた王馬くん次第なのだ。
彼は……「私」をどうしてくれるんだろう。
「私」は幸せになれるんだろうか。
私の問いかけに対し、王馬くんは少し真面目な表情で質問を返す。
「希灯ちゃんは、オレのこと好き……? オレのこと愛してる? ……オレに一生添い遂げる覚悟はしてる?」
私は無言でゆっくり頷いた。
「……そっか、命の危険は尽きること無いだろうけど………オレが組織の総力を上げて君を守るよ」
そう言って、私に優しくキスをする。
王馬くんの髪が垂れかかって、頬をくすぐった。
『……お、王馬くん…………。』
「希灯ちゃん、オレも君のこと大好きだよ」
『いや……そうじゃなくて。』
ようやく役に入りかけたその時、ある違和感に気付く。
『……髪、濡れてないね?。』
「それがどうかしたの?」
『いや、だってシャワーを浴びたって言ってたのに、髪がお風呂に入る前みたいに完全に乾ききってる。それに体だってお風呂上がりの匂いが全然しない……。』
薬の効力もだんだん切れ始め、ある程度体が動くようになる。
でも親指はそのままだから気が抜けない。
『……王馬くん、また嘘を吐いてるね………?。』
お互いジッと見つめ合う。
「…………」
『…………。』
ほんのちょっとの沈黙が続いた後、王馬くんは口角を吊り上げて笑った。
「ははっ……希灯ちゃんは相変わらず気付くのが遅いね!」
『……やっぱり。一体どこからどこまでが嘘のつもりなの?。』
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