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君と私と(非)日常

第12章 君と私と愛の鍵①


「そりゃあ、最初からだよ。最初から最後まで全て嘘。君はオレの組織になんか入ってないし君はオレの情婦じゃない。それに暗殺者なんて春川ちゃんとキャラ被りもいいとこだって」
王馬くんは自身のポケットから何かを取り出した。
『あ、それって……!。』
「そう、愛の鍵だよ。妄想や夢に浸る相手に付き合わなきゃいけないらしいけど、どうせならオレが先に架空の設定を振って希灯ちゃんを混乱させて遊ぼうと思ったんだ。それに拒んだら、起きた後も苦しむって聞いたし……楽しそうじゃん」
色々と最低なことを言いながら王馬くんが私のポケットに手を突っ込んだ。
「……でも残念ながら効果が相殺し合ってどっちも正気だったから、結局は希灯ちゃんが混乱しただけだったね」
私の持ってた愛の鍵をポケットから出し、自分のものと合わせて持った。
チャリン、という軽い金属音が頭の上で鳴る。
「ねぇ、希灯ちゃん。ここから出て部屋に戻ったら今夜の記憶は曖昧になるらしいね……?」
『う、うん。説明書にそういう文があったよ。』
「どうせ忘れるなら、今楽しんでおこうよ。ほら、部屋もこんなだし、君はオレの情婦だろ……?」
王馬くんが私のブラウスのボタンを全て外し脇腹を両手で撫でた。
『それは王馬くんの言った設定ってだけじゃん。……私まだ経験ないんだよ。』
「じゃあ、初めてをオレに捧げればいい。希灯ちゃん、どうせ他に好きな人いないでしょ?」
確かに、意中の相手なんて思い浮かばない。
でも、だからと言ってこんなことを易々としていいのか判断のつけがたいところだ。
「ほら、指錠も外してあげるしゴムも媚薬も用意してるからさ、とにかくもっと楽に考えなよ」
王馬くんが用意周到にエスコートしながら自然な流れで脱がしていく。
私の服だけでなく、自分の服もちゃんと脱いでいて王馬くんは上半身にはもう何も身に付けていなかった。
「希灯ちゃんまだ全然濡れてないだろうし、丁寧に前戯しなきゃねー」
にしし、と王馬くんは愉しげに笑う。
そんな彼に流され絆され、私の初めての夜は更けていった………。




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