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君と私と(非)日常

第9章 ある朝の夜這い


外しにくい。文具ハサミを取り出して割り箸と指の隙間に刃を入れて切っていく。
体勢がキツイから私がベッドに座り、代わりに狛枝くんを立ち上がらせて切り進めた。
『だっる……。やんなきゃよかった。いや、そもそも狛枝くんが入ってこなきゃ……。』
「んー……ごめんねっ!」
外しながら愚痴ると、狛枝くんが軽く謝ってくる。悪いとは思ってなさそうだ。
『はい、終わったよ。早く帰ってくれない?。』
切ったテープを割り箸ごと外し、全部の指がようやく解放された。すると狛枝くんは薄く笑いながら私を見下ろす。
「ハハ……やっぱり希灯さんは不用心だ」
その言葉にハッとしたけど、もう手遅れだった。
自由になった両手で私は腕を掴まれ、その勢いのままベッドに押し倒される。
振り払おうとしたけど、意外にも力じゃ敵わなかった。見るからにヒョロそうな白い腕には、実はそれなりに筋肉が蓄えられていた。
覆い被さられ、手も足もガッチリとホールドされてしまう。
『ちょっともう、一体何なの?。』
不機嫌を隠さずに言うが、狛枝くんからの返事はなかった。
『…………?。』
正直、狛枝くんが何をしたいのか理解できない。
腹の上に馬乗りになって、私を見つめている。なるべく体重をかけないよう、優しく。だけど動かないように固定するだけの力は加えられていた。
まぁ、どういう体重のかけ方にしろ、仰向けのこの体勢じゃ狛枝くんが退くまで起き上がれないけど。
『何がしたいの?。』
「知りたい?」
『うーん、あんまり。てか退いてよ。』
掴まれた両手首に力を込めて抵抗するが、やっぱり意味はない。
「今からボクがキミに何しようとしてるか分かる?」
『あー……まさか、殺すとか?。』
この島でやることと言ったら、遊ぶか殺すか裁判かのどれかだ。
この状況なら殺されたってちっともおかしくない。
それに何より狛枝くんだし。コロシアイに積極的なことで知られてる狛枝くんだし。絶体絶命じゃん。
『…………。』
自分の命の心配をしていると、突然唇に何かが当たった。
……何これ?。
近すぎて見えない何かは、狛枝くんの顔だった。唇と唇が触れ合っている。
これは……性犯罪に入るのかな?。
この島で立派な犯罪と呼べるのは人殺しとゴミのポイ捨てくらいしか目立ってないけど、きっと不純異性交遊もモノクマは許さない……かもしれない、と思う。
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