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君と私と(非)日常

第7章 神様殺し


夜長さんとずっと一緒に居たら、自分自身の判断能力を失ってしまいそうで怖かった。
「んー? 誉稀全然ノリ気じゃないな~? アンジーの神様だって誉稀のこと気に入ってるし、怖がることないよー」
そう言って私を抱き寄せる。

「誉稀の気持ちわかるよ……。こんな学園生活で誰も頼れなくて……それにアンジーに神様がいるって聞いて明らかに嫌なイメージを持ったりしたよね……。でも大丈夫、アイツらは神様の名を掲げて金儲けするためだけの連中だけど、アンジーの神様はそんなんじゃないから。危なくない安心安全で快適長持ちの神様だから……もう怖がらなくていいんだよ」

頭を撫でながらそっと優しく語りかけてきた。
そして最後に、私の額にキスを落とす。
「アンジーと一緒に居れば、誉稀も神様の加護を受けられるよー。そしたらもう、怖いことなんて何にも無くなるんだよー」
『よ、夜長さん……!。』
私は戸惑いながら…………戸惑いながら、夜長さんを突き飛ばした。

『やめて……こんなの、もう二度としないで……!。』

妙な動悸がする。息も苦しくて、血の気が引いたようだ。
衝撃で床にへたりこんだ夜長さんがこちらを見上げる。
「あれま、失敗だったかな……。まぁいいやー。別に誉稀じゃなくても、代わりは他に作ればいいからねー」
にゃははーと笑いながら立ち上がる。
「そうだね……その代わり、誉稀にはイケニエになってもらうよー。もしもの時はよろしくねー」
『…………!。』
私はクスクス笑う夜長さんに背を向けて、そのまま走って逃げた。
やっぱり夜長さんは全然信用できない。
秘密子ちゃんもキーボくんも転子ちゃんも白銀さんもゴン太くんも、あんな風に懐柔されたのか。
私は自分の個室に転がるように入り、鍵をかけベッドに潜り込んだ。
何故だかどうしようもなく泣きたくなった。
閉鎖された学園の中で宗教を後ろ楯にして出来た生徒会は脅威なのだ。
明日には何人か信者が増えてるかもしれない。
数で負けたら抗いようがなくなるだろう。
生徒会の方針を勝手に押し付けられ、逆らえば何かと罰が与えられるはず。
そんなことになったら、もしかしたら私も諦めて夜長さんに嵌められてしまうなんてことも有り得なくはない話だ。
どうすればいいんだろう。
いっそ、誰かが夜長さんを殺してくれればいいのに……。
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