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君と私と(非)日常

第7章 神様殺し




「おーい、誉稀ー。ちょっと待ってー」

廊下を歩いていると、夜長さんから呼び止められた。
『どうしたの?。夜長さん。』
「にゃははー。今からねー、アンジーは神ってる報告をするんだよー」
ご機嫌そうに笑いながら夜長さんはバンザイした。
「なんと誉稀はねー、アンジーの神様に選ばれたのだー! パチパチパチパチー!」
『ふーん、良かったねー。…………ん?。』
いつもみたいに流そうかと思ったけど、何やら特殊なことを言われたようだ。
神様に選ばれたとな……?。
『ちょっと待って、どういうこと?。』
「誉稀ったら混乱してるなー? アンジーの神様に選ばれたってことはー、アンジーと誉稀は結ばれたってことになるよー」
『ダメだ……全然分かんない。』
軽く頭痛を起こして夜長さんから目を背ける。
「主は言いました……誉稀はモノモノマシーンから出てきたアイテムの中から、的確にアンジーと神様の好物を選んでプレゼントしてくれるし、付かず離れずで適切な距離感を保って接してくれる……。これはもう1つになるべきだと……」
何だか薄々わかってきた気がする。
『つまり、気に入ったからこれから一緒に行動しろと……?。』
「そだよー、楓と終一みたいにラブラブチュッチュしよーよー。まぁ、アンジーには神様がいるから、正確には誉稀は神様とラブラブチュッチュすることになるよー」
神様と……てか夜長さんと………?。
『えっと……それは何かの冗談なの?。あんまりそういうの好きじゃないから、冗談ならそう言ってくれたら嬉しいかな……。』
正直に言うと、私は夜長さんのことはそんなに好きじゃない。
何と言うか、付き合いづらいのだ。
性格的にも合わないし、宗教的な面でも受け入れづらい。
カルトは嫌いなのだ。
私の遠い親戚にも、妄信的に怪しい教団に生活費を注ぎ込んだり、高いお金で変なラベルの貼られた普通の水を買ったり、しつこく布教しようとして酷かったから縁を切られたっていう人がいるのを知ってる。
新興宗教なんてロクなものじゃない。
神様や仏様は自分の中にも夜長さんの横にもいない。
信じられるのは自分だけだ。曖昧で不確かな存在に頼るなんて全く馬鹿げている。
人の弱った心に漬け込む夜長さんのやり方も気に入らなかった。
あんなの完全に洗脳じゃないか。
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