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君と私と(非)日常

第29章 ややこしい2人


「くだらんな。今までの希灯の行いを見て何故まごついてるなどと判断できる? カムクラに対してはいつもタガが外れていたじゃないか。どうせ無愛想な態度にいい加減飽きてしまったんだろう」
「はいぃっ! 白夜様のおっしゃる通りですぅぅ……!!」
本物の十神が口を突っ込むや否や手の平を返し同意する腐川。周りが苦笑いしつつ話を続ける。
「とりあえず……このままってのもどうかと思うし、やるだけやってみる?」
「そうね。丁度もうすぐキャンプファイヤーも催されるようだし、タイミングはその時がいいと思うわ」
モノクマーズ達が言うには明後日の夜、合宿の締め括りを飾る最後の行事としてキャンプファイヤーを実施するそうだ。
火を囲んで踊るも話すも自由に過ごせる全員参加の催しだから希灯とカムクラを鉢合わせさせるなど訳もないだろう。
また2人をどうこうするという計画が、賑やかかつ密かに話し合われていった。



『はぁ……。』
夜中の浜辺で希灯が立ち尽くす。
皆もう集合しているようで、井桁組された大きな焚き火の周りで各々楽しそうに過ごしていた。
赤々とした景色のなかには当然カムクラの姿もあった。
希灯は少し躊躇ってから、渋々焚き火を目指して歩いていく。一歩一歩進む毎に鼓動が高鳴るのを感じた。これは焦りと不安から来るものだと自覚し、希灯は呼吸が乱れないよう必死に平静を装う。
この場を放棄したいが、参加しないのは明らかに不自然だ。もう行くしかない。
会場に到達すると、希灯に気付いた数人が駆け寄ってきた。
「やっと来た。こっちこっち、誉稀ちゃん!」
「遅かったから心配したっすよ! 唯吹たち待ってたんすからね!」
『ごめんね。ちょっと浜辺を間違えちゃって。』
適当に嘘を吐いて遅れた理由を誤魔化した。億劫だったからだなんて言えるはずがない。
「希灯さん。まだ始まったばっかりだし……楽しい一夜にしようね」
小泉や七海に誘導され、火の近くに寄っていく。
『(イズルくんがいる。イズルくんがいる。イズルくんがいる。どうしよう、距離がどんどん縮まってく……)。』
内心あわあわと穏やかではない希灯は、カムクラの横に座らせられてしまうと緊張する。まだ心に整理がついておらず、まともにカムクラと会話できる自信がなかった。
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