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君と私と(非)日常

第29章 ややこしい2人


「カムクラクン、ボクらが遊びに誘ったり一緒に居ようとしても乗ってくれなかったよ。頼み事なら聞いてくれたけど、ただ同じ時間を過ごすだけって目的だと全部フラれちゃった」
肩をすくめた狛枝の後に王馬が続ける。
「おかしいよね……希灯ちゃんのときは良くて、他の人はダメなんて。カムクラちゃんは希灯ちゃんに脈ありってことでいいのかな?」
「その結論は極端だと思うけど、これ以上あの2人に好奇心でお節介を焼かない方がいいと思うわ」
計画のことは知っていても介入はしなかった東条がそろそろ止めどきだと言う。
「どうする? オレも飽きてきたしもういいかな」
皆も止めることに賛同した。希灯は純粋に皆との交流を楽しんでいる様子だったし、カムクラは希灯以外とは必要以上に長時間一緒には居たがらない。これ以上続けても何の変化もないだろうし、希灯とカムクラを接触させないことに特にメリットもデメリットも感じない。
だから止める、とその場の全員の意向は一致していた。
「あぁ……ついでだけど」
思い出したように王馬が声を上げた。
「昨日、希灯ちゃんに聞いてみたんだ。「よくカムクラちゃんと一緒に居るけど、カムクラちゃんのことどう思ってるのか」って……そしたら「友達」だって。恋愛感情あるはずだと思ったんだけど、どう煽っても期待したような反応してくれなくてさ~」
つまんないの~、と王馬が拗ねたような口調で笑う。
「ほんと訳わかんねーな、あの2人」
「だね……」
そんなこんなで、この生産性のない計画は静かに終わっていった。



次の日、約1週間ぶりにカムクラを誘いに現れた希灯だったが妙にボロボロだった。
『イズルくん、おはよう。』
「……血が出てますよ」
希灯を一瞥し、カムクラがそう指摘する。
『ちょっと来るときモノケモノに襲われてさ……。ふふ、今日はみんな誘ってこないなって思ったらモノケモノに誘われちゃった。』
軽く笑いながら希灯が経緯を話す。振る舞いはあまり大事ではなさそうだったが、足取りは覚束なかった。体のあちこちにできたかすり傷から血が滲み出ている。
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