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君と私と(非)日常

第29章 ややこしい2人


「上手くいくかは置いといて……まずは明日、誰がどう誘いに行くか決めとこうか」
こうしてカムクライズルと希灯誉稀を意図的に引き裂く計画が立てられていった。
そんなことも知らず、2人は呑気にプールサイドでまったりしていた。



翌日、カムクラを探して歩く希灯に小泉が声を掛けた。
「ね、ねぇ……誉稀ちゃん? よかったら今から皆と海で遊ばない?」
『あっ、真昼ちゃんか。珍しいね?。』
振り返る希灯の表情を窺いながら返事を待つと、意外にも嬉しそうな表情で答えた。
『全然いいよ、水着用意してくるからちょっと待ってね。』
そう言いながらコテージに一旦帰り、すぐに戻ってきた希灯を連れて小泉は海へと向かう。
海で待っていたのは主に昨日レストランで雑談をしていた3年生の女子の面々だったが、いつもカムクラにべったりだった希灯がすんなり遊びの誘いに乗じたことに内心驚いていた。
遊んでいる最中、希灯はずっと楽しそうにしていた。
「な、なんだか、思っていたより楽しんでくれたみたいで、よかったですねぇ……!」
「クスクス。ゲロブタがいなかったらもっと楽しめたかもね」
「予想とは違ったっすけど、これはこれで嬉しいっすね!」
結局この日希灯は海で遊んだ時間以降もカムクラと会うことはなく、常に誘われるがまま普段とは違う人と過ごした。
次の日は狛枝と苗木から映画館に誘われ、また次の日は朝比奈と大神と赤松から遊園地に誘われ、その次の日もまた次の日も誰かしらに誘われた希灯は全ての誘いに応じた。
毎日カムクラを探してはいたものの、誘われた後は目の前の人間に集中しているようだった。
そうしてカムクラとろくに会わないまま1週間が過ぎた。
「あれからカムクラどんな感じ? やっぱいつもと変わらない?」
またオヤツタイムに集まった面々でこの1週間の成果について話し合う。前回レストランで計画したときとは異なるメンバーだったが、1週間内にほぼ全員を巻き込んだため支障はなかった。
「はは……相変わらずみたい。でもちょっと気になることはあったかな」
「気になることって何ですか?」
もったいぶるように言う狛枝に、苗木こまるが腐川とアイスクリームを分け合いながら訊く。
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