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君と私と(非)日常

第29章 ややこしい2人


花村と茶柱がキャッキャと騒ぐのを横目に、会話は続く。
「つまり何が目的なのかね? 君達は希灯君とカムクラ君をどうしたいんだ?」
いまいち雑談を理解できていない石丸が首を傾げながら訊いた。
「どうって……どうもしないけど」
「何だって? どうもしないのに議題に上げているのか」
「そういうもんだよ。あんまお堅く考えんな」
石丸が手応えのない答えに混乱している。オヤツタイムで集まっているだけだから足並みが揃っているわけではなかった。
「でも、もしカムクラくんが本心では希灯さんのことちょっと苦手だったらどうするんだろう……誰かに相談するようにも思えないし……」
不二咲が心配そうにレストランの窓から外の2人に目を向けた。カムクラの顔はパラソルに隠れてよく見えない。
「アイツなら嫌なことは嫌って言うんじゃね?」
「そうかな? 案外カムクラくんって付き合い良いとこあるし、何かを拒んでるの見たことないけど」
「希灯も邪険にされてるわけじゃないみたいだが実際はどう思ってるんだろうな……」
十数人でああだこうだと言い合う。恋バナにしてはあまりにも色めき立っていない微妙な盛り上がり方をしていた。
「じれってぇな!。いっそ希灯とカムクラの2人をしばらく別行動させてみるってのはどうだ? それでカムクラが清々したって感じなら嫌だったってことだし、何もないならマジで何とも思ってないってことになるだろ」
会話を聞いていた大門が面白くなさげに声を張り上げた。小学生のメンバー達全員にとって興味のない話題だったから、早く話に折り合いを付けたかった模様だ。
「……へぇ、少し面白そうだね。ボクは試してみたいかな。皆はどう?」
遠巻きに黙って見ていた狛枝が大門の提案に乗る。周りの生徒たちにも参加するかどうか呼び掛けた。
「そりゃ多少は気になるけど……具体的にはどうすんのよ?」
「希灯さんがカムクラクンに接触する前に遊びか何かに誘って、合流する時間を極力減らしてみるんだ。そしてカムクラクンは好きなように過ごす……これを何日か続けるのはどうかな」
「断られたらどうすんのよ?」
ほぼ毎日カムクラと戯れている希灯だ。他の者からの誘いを拒否するかもしれない。
「強引にでも誘ってみてよ。彼女だってそこまで向こう見ずな性格じゃないだろ?」
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