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君と私と(非)日常

第29章 ややこしい2人


希望ヶ峰学園の3年生やその関係者が入り交じる大所帯なジャバウォック島では、多少のトラブルはあれど皆それなりに仲良しだ。
中にはある特定の1人に猛アタックする者もいる。

『イズルくん、遊ぼ。』
『ねぇ、何してるの?。私も隣いい?。』
『見て~!。これ見て!。イズルく~ん!!。』

それが特に顕著なのが、超高校級のクラフトワーカーである希灯誉稀だ。
毎日のようにカムクライズルに付いてまわっている。
当のカムクラは受け入れも突き離しもせず、ただ希灯誉稀の構ってムーヴを流していた。
その様子を見た他の面々の多くは同じ情景を思い浮かべた。2人の様子はまるで悠々と泳ぐサメと、それにぴったりとくっ付いているコバンザメのようだと。
共存しているものの、仲が良いようには見えない。少なくとも、カムクラは希灯に微塵も興味がないように思える。
そんな2人を見て、何らかを思う人は複数いた。
「ねぇ、カムクラと誉稀ちゃんだけどさ……あれってどうなの? 2人にとって良いことなの?」
「んー……端から見たらカムクラくんがずっと付きまとわれてるように見えるけど、嫌がってはないみたいだよ?」
昼過ぎのレストラン、花村製のオヤツを頬張りながら井戸端会議をする者たちがいる。
レストランの前のプールサイドでは、パラソルの下のチェアに寝そべって涼むカムクラと、そのチェアの座面に凭れかかって地べたに座り込む希灯が居た。
希灯は遠目から見ても楽しそうにしているが、会話が弾んでいるようにはとても見えない。
そんな様子の2人だから、レストランでお喋りしている今かっこうの話のネタにされていた。
「カムクラっち的にはどうなんだろうねぇ。何に対しても好きも嫌いもないとか言ってたらしいけど、希灯っちのこともそうなのかい?」
小泉と赤松の言葉に、葉隠母がアンニュイな面持ちで返す。
「ンッフッフ…可愛い女の子にあんなに積極的に迫られてるんだよ? カムクラ君も内心ドキドキムラムラしてたりするんじゃないかなぁ?」
「きえええ! 何という不純な思考! あなたもカムクラさんも女子の皆さんに近付かないでください!」
「それは残念。もう僕の作ったお菓子も食べてもらえないね……」
「……花村さんの料理は近付くことを許可します!」
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