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君と私と(非)日常

第28章 爺共からの床急ぎ


『もう……っ!。押さえつけるくらいなら抱き締めてよ!。』
怒った調子で言いながら希灯がカムクラの首に腕をまわした。
『ほら!。私のこともギュッてして……早くっ!。』
両手を解放した時点で何をされるか察してはいたカムクラだが、こんなにも憎らしげに愛情表現を求めてくるヤツがあるかと思いつつ言われたままに希灯の身体に手をまわす。
「……ああ、確かにこの方が良さそうですね」
『でしょ?。このまま続きしよう。』
頭と背中を抱くと、希灯は多少機嫌を取り戻したように笑った。
カムクラはいつの間にか止まっていた腰をまた動かしていく。希灯は入り口付近をカリ首で掻い撫でられるのが好いらしい。耳元で甘ったるい呻きが微かに聞こえた。
密着した素肌が互いを擦りあい、両手は塞がっているのにまるで身体をまさぐり合っているかのような感覚になる。
『ん、はぁ……っ。ぅあ……。』
抱き締められながら丁寧なピストンが続く。頭も背中も胸も腹も、カムクラに触れている部分全て心地よかった。
『(なんだか……愛されてるみたい)。』
完全に覆い被さられた状態の希灯はこの体勢がまるで檻みたいで、カムクラだけのものにされているような気がして嬉しく思える。
『い……っイズル、くん。もっと、ギュッてしてぇ……。』
抱擁を更に求めるとカムクラは「しょうがないな」とばかりに小さく溜め息を吐き、より一層身体を密着させる。
頭に添えられた手で後頭部をワシャワシャと撫でられ、希灯はうっとりと目を細めた。
『……ん。へへ、気持ちいい……。』
希灯もカムクラのうなじ辺りから手を滑り込ませ、地肌を擦るように髪を撫でる。重たい髪が指の間を通り、指先にはうっすらと汗ばんだ熱を感じた。
しがみつくように抱きつき、お互いの首筋に息が掛かるほど重なり合う。
カムクラの吐息がこめかみの辺りで繰り返される。絶え絶えな希灯とは対照的に随分と落ち着いた呼吸だ。
けれど普段は耳にすることのない息遣いが何とも色っぽくて、希灯は脳まで響くその音を酔ったような心地で聴いていた。
揺さぶられる腰の動きと、聞こえてくる呼吸が気持ち良い。
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