• テキストサイズ

君と私と(非)日常

第28章 爺共からの床急ぎ


お互い未経験と知り希灯は少し口元を綻ばせた。
『イズルくん……き、キスしてほしいな。』
希灯が覆い被さるカムクラのうなじに恐るおそる手を回す。
「生殖には必要なさそうですが……」
『セックスには付き物なんじゃないの?。』
「では、一応しておきましょうか」
そっと唇同士を触れ合わせた。
カムクラは身に覚えのない柔らかな皮膚の感触を知り、半ば一驚した様子ですぐに離す。
それを見てはにかみながらも希灯は微笑んだ。
『ふふ……っ、今度は舌も入れてみようよ。多分ビデオで観たでしょ?。』
カムクラは言われた通りに舌を入れ、それに応えようと希灯も自身の舌を絡める。
其処ら辺で拾い集めた知識に従い、初めてなりに模倣していった。
吸ったり舐めたり這わせたりと、緩慢ながらも何処か忙しなく唾液を取り交わす。
カムクラは研究員に読ませられたマニュアルの内容を思い返した。確か口内にも性感帯があったはず。
「(上顎のザラついた箇所や舌の付け根辺り……)」
力まずに舌先でそっと刺激する。希灯の反応を多少窺うが、今は変化に気が付く余裕が無いらしく必死にカムクラの舌を受け入れている様子だ。
そろそろ息も苦しいだろうとカムクラが離すと、希灯は荒い呼吸を数度繰り返した。
『ごめ……息、するの……忘れてた………。』
途切れ途切れ息継ぎの合間に希灯が報告する。
「しっかりしてください。落ち着くまで待ってますから、焦らなくても大丈夫ですよ」
『うん……。』
口の中に溜まった唾を飲み込みながら希灯が頷いた。
『はぁ……もっと軽いものかと思ってたけど、何だか不思議な気分になるね。頭がふわふわする。』
「酸素が十分に脳まで届かなかったからじゃないですか? 呼吸していなかったんですよね」
『それもあるけど、それだけじゃない気がする。なんだか気持ち良かったよ。』
多幸感ってやつかな?。と考えながら希灯が言う。
「酸素の欠乏による脳の誤信号の疑いが強いんですが……ただ単に性的興奮が高まりホルモンが過剰に分泌された影響というだけのことなのかもしれませんね。様子見の為に少し休みましょう」
『……いや、大丈夫。それより次に進もう。』
休息を奨めるカムクラを希灯が急かす。頭に溜まった熱が冷めないうちに色々したい、とせがんだ。
/ 203ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp