• テキストサイズ

君と私と(非)日常

第28章 爺共からの床急ぎ


カムクラの問いにあっけらかんとした表情になった希灯。その様子からやはり同意書をあまり詳しく読まなかったことが窺える。
「……知らなかったんですね」
これぐらいの予想はしていた。
『高校生で妊娠って……ダメなんじゃないの?。』
困った顔をして希灯は訊く。
何故学園にそんなことを求められているのかさっぱり分からないといった様子だ。
「仕方がないですね……僕が説明します。それで納得がいかないなら帰しますから」
そう言ってカムクラは研究員に教えられたことや後に考えられるリスク等も含め、色々説明を始めた。



『……説明ありがとう。なるほどね、希望ヶ峰学園は超高校級の希望の子供を実験材料にしたいんだね。』
暗い表情の希灯が浅く頷く。
『生まれた子供はちゃんと人権をもらえるのかな……産んだ後、イズルくんやその子供に会うことは出来るのかな……。』
「人権については成果次第でしょう。会えるかどうかは……あちら側が決めるんだと思います」
希灯は産んだ後の事を中心に心配する。生まれた子供は学園が引き取るため、本人が1番大変なのは身籠っている時期だろうに。
『ちなみに……私が断ったら、この計画はどうなるの?。』
「産んでもらう女性が別の人になるだけです」
『そっか、別の人が………うん。それなら……いや、でも………。』
別の女がカムクラと子を作ることになると聞いて希灯は頭を抱える。
好きな男が自分以外の女と交わるのをみすみす許してしまってもいいのか。せっかく自分を選んでくれたのに、チャンスを自ら手放すなんてことがあってもいいのか。
『………そんなの嫌だ。』
悩んだ末絞り出た自身の本音を聞き、希灯は覚悟を決めることにした。
他の女にさせたくないなら、自分がやるしかない。
『イズルくん、私……産んでもいいよ。』
真っ直ぐ目を見つめて希灯が言う。
希灯の言葉を聞いた時のカムクラの表情は、少し哀し気に見えた。
「そうですか。……後悔しても知りませんからね」
カムクラが希灯の肩を掴み、枕元にゆっくりと押し倒す。
やや緊張気味の希灯は不安そうにカムクラの顔を窺う。
「初めてですか?」
『……うん、初めて。』
「僕も実践経験はないですね。初めて同士焦らず行きましょう」
/ 203ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp