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君と私と(非)日常

第28章 爺共からの床急ぎ


『職員棟なんて久し……いや、初めて入りましたー。』
「キョロキョロしないでくれよ、迷ったら探すの大変なんだから」
数日経った放課後、呼び出された希灯が研究員の後を付いて歩く。
『ところで、今日は何の為に……?。』
事前に寮に一旦戻りシャワーを浴びて体の準備を整えておくようにと言われていた希灯は訝しげに訊く。
「え……この前、書類にサイン書いてもらったよね。それなんだけど」
『……あぁ、あれですか。』
そう言えば書いた、と希灯はうんうん頷く。
「あー……大丈夫かなぁ、でもまぁ同意したことにはなってるから規約上問題はないか……」
本当に理解しているのか不安になるも、やはり研究員は同意は貰ったから自分に責任はないと首を振る。
廊下を何度も曲がり、階段を上がってまた複雑な通路をずっと進んでいく。
やがてある一室に通され、希灯はそのまま一人にされた。
室内は簡素なもので窓や明かり取りなどは一切無く、10畳位の広さにセミダブルのベッドとサイドテーブルが一台ずつ置かれているだけだ。
サイドテーブルには天然水の未開封ペットボトルが2本と、トロトロした液体の入った謎のボトルが1本備えられている。
ベッドの上には、希灯は絶対に馴染みのない、明らかに男を誘う用のベビードールが畳まれていた。
おまけに扉は外から鍵を掛けられて出られない。
扉の横には受話器が設置されているが、恐らく内線だろうし自分が電話を掛けてどうなると云うのか。希灯は受話器は触らないことにした。
『着替えて待てって言われたけど……これは………。』
部屋の壁や天井を確認し、何かを探す。
『……カメラはないか。』
ひとまず良かった、と希灯は安堵する。
知らぬ間にAV企画に参加させられたのかと勘繰ったものの、その疑いは今のところ晴れた。
では何故こんな服に着替えてベッドで待たねばならないのか……と希灯は更に悩む。
『一応……着ておいた方がいいのかな?。』
黒いレースのベビードールを持ち上げ、着方を模索しながら身に着ける。
脱いだ服はベッド下のプラスチック籠の中に入れておき、部屋の中を探索することにした。
『……軟膏もあるんだ。……えーっと、"元超高校級の調合師自慢の子宮口に塗り込むタイプの即効薬。排卵の誘発以外の使用はお控えください"………。』
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