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君と私と(非)日常

第27章 益体もない裁判


「確かに葉隠が物音を立てなきゃ、2人はああいう発想には至らなかった訳だし……」
「同意ですな。あの行為は他人に悟られないよう音を立てずに行うのが基本的マナーだと思いますぞ」
「希灯か学園長か葉隠かって言われたら、そりゃ葉隠になる」
皆納得した様子で頷く。
『本当にいいの……?。葉隠くんは私達が隣室で遊んでたことなんて微塵も知らなかっただろうし、そもそも悪意も無いでしょ?。』
希灯が困り顔で訊く。完全に巻き込み事故だと罪悪感を募らせた。
「いいんだよ、希灯さん。既にカレは体験版で2回も殺されてるし……今さらどうってことないよ!」
苗木が希灯の肩を掴んで説得する。
けれどまだ希灯は悩むような表情を見せた。
「モノクマちゃん、全員一致しなきゃクロにならないみたいなこと言ってたッスけど、もし票が割れたらどーするんッスか?」
「え? そりゃ全員死刑になるに決まってるじゃん」
何を今更、とモノクマが言う。
それを聞いて希灯は一点の曇りもない瞳になり苗木に返答した。
『じゃあ、犯人は葉隠くんだね。』
そして一斉に投票ボタンに手を添える。
「皆いいね? それじゃあいくよ……せーの!」
苗木の掛け声と共に円卓を囲む全員がボタンを押した。
その瞬間、スロットマシーンが登場し絵柄が3つ揃う。間違いなく葉隠泰広だった。
「それじゃあ、カレをクロにした理由を教えてね」
モノクマがお仕置き開始用のハンマーをフリフリしながら聞く態勢を作る。
「今回の容疑者である葉隠泰広は隣の部屋に聞こえる程の声を上げてシコり、希灯さんとカムクラクンが不幸になる原因を作った。葉隠クンがあのタイミングでそんなことをしなかったら、この悲劇は起こらなかったんだ……。それがボク達の導き出した答えだよ」
緊張の面持ちで一同はモノクマに注目する。
「りょーかい。そろそろ飽きてきたからソレでいいよ」
モノクマは疲れたように息を吐く。
皆は安心した様子でお互いを見合った。
「ところで当の葉隠は? ここには居ないみたいだけど」
「あぁ、カレは騒動が起こる少し前から新作(未定)の体験版の撮影で留守にしてるよ。だから今裁判が開廷されてるなんてちっとも知らないだろうね」
「そっか、まぁいいや。皆お疲れー」
苗木がエレベーターで上へ行く面々に手を振る。
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